- 2024/6/27
- 令和6年度第1回CARDビジネスセミナー『ネイチャーポジティブとDX』について
- 2022/5/26
- 協議会名称変更のお知らせ
- 2022/3/14
- 「廃棄物処理・リサイクルに係るDX推進ガイドライン~処理事業者編~」について
- 2021/10/13
- 「産業廃棄物処理業者DX推進実態調査結果」について
- 2020/12/15
- 「令和2年度総会」を開催致しました。
- 2020/11/25
- 「令和2年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
- 2020/10/28
- 「令和2年度第2回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2020/7/13
- 「令和2年度第1回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2020/2/20
- 「令和元年度第3回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2019/12/26
- 「令和元年度総会」を開催致しました。
- 2019/12/18
- 「令和を拓く 資源循環イノベーション (6)」環境新聞 12月11日版に掲載されました。
- 2019/11/26
- 「令和元年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
- 2019/11/20
- 「令和を拓く 資源循環イノベーション (5)」環境新聞 11月13日版に掲載されました。
- 2019/11/13~14
- 「第12回川崎国際環境技術展」へ出展致しました。
- 2019/10/28
- 「令和元年度第2回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2019/10/16
- 「令和を拓く 資源循環イノベーション (4)」環境新聞 10月9日版に掲載されました。
- 2019/10/9~11
- 「エコテクノ2019」へ出展致しました。
- 2019/8/6
- 「令和元年度第1回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2019/7/3
- 「令和元年度IoT先端施設等への視察会」を開催致しました。
- 2019/2/19
- 「平成30年度第3回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2019/2/1~2
- 「第11回川崎国際環境技術展」へ出展致しました。
- 2018/12/27
- 「平成30年度総会」を開催致しました。
- 2018/11/5
- 「平成30年度第2回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2018/10/30
- 「平成30年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
- 2018/10/10~12
- 「エコテクノ2018」へ出展致しました。
- 2018/8/2
- 「平成30年度第1回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2018/6/26
- 「平成30年度IoT先端施設等への視察会」を開催致しました。
- 2018/2/26
- 「平成29年度第3回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2017/12/18
- 「平成29年度総会」を開催致しました。
- 2017/11/17
- 「平成29年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
- 2017/10/16
- 「平成29年度第2回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2017/7/24
- 「平成29年度第1回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2017/6/22
- 「平成29年度IoT先端施設等への視察会」を開催致しました。
- 2017/3/07,13
- 「平成28年度第2回ワーキンググループ」を開催致しました。
- 2017/2/16~17
- 「川崎国際環境技術展2017」に出展致しました。
- 2016/12/22
- 「設立総会」を開催致しました。
- 2016/11/30
- 「平成28年度第1回合同ワーキンググループ」を開催致しました。
「令和6年度第1回CARDビジネスセミナー『ネイチャーポジティブとDX』」を開催致しました。
令和6年6月にて令和6年度第1回CARDビジネスセミナー『ネイチャーポジティブとDX』を開催致しました。
参加者は延べ30名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
令和6年度第1回CARDビジネスセミナー『ネイチャーポジティブとDX』 議事次第
・開会
・開会ご挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 会長 藤井実
(国立研究開発法人国立環境研究所 社会システム領域 システムイノベーション研究室 室長)
・来賓挨拶
環境省/経済産業省
・セミナー1
『ネイチャーポジティブ社会への移行と資源循環経済の担い手の役割・期待』
講師: 道家 哲平様 (公益財団法人 日本自然保護協会)
・セミナー2
『ネイチャーポジティブの潮流』
講師: 服部 徹 様 (PwCコンサルティング合同会社 シニアマネージャー)
・セミナー3
『静脈産業の現在地と未来 ~DXで実現するCE×CN×NP~』
講師: 彌永 冴子 様 (一般社団法人資源循環ネットワーク コンサルタント)
・閉会
廃棄物処理・リサイクルに係るDX推進ガイドライン~処理事業者編~(パンフレット)
2022年3月、廃棄物処理・リサイクルにおけるDX推進のための研究会(DX研究会)で策定した廃棄物処理・リサイクルに係るDX推進ガイドライン(DX推進ガイドライン)の内容を基にしつつ、幅広い関係者の皆様へ普及を目的としたパンフレットを作成しました。
本パンフレットは、DX推進ガイドラインの内容をコンパクトにしたことで、全体の内容や、ポイントがより分かりやすくなっています。自社のDX・GX達成度を診断するツールとして作成しました「DX診断プログラム」と併せてご活用ください。
廃棄物処理・リサイクルに係るDX推進ガイドライン~処理事業者編~(パンフレット)は以下からダウンロードしてください。
DX診断プログラムは以下からご利用してください。
【参考】
協議会名称変更のお知らせ
拝啓貴機関におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
早速ではございますが、『廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会』は、『高度資源循環・デジタル化推進協議会』へ名称変更を行いました。
今後は、より一層皆様のお役に立てるよう努力する所存でございます。引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
新協議会名称 『高度資源循環・デジタル化推進協議会』
「産業廃棄物処理業者DX推進実態調査結果」について 環境新聞 3月16日版に掲載されました。
DX推進で業界の底上げ目差す
処理業者向けガイドライン策定
IoT協議会、資源循環学会が共同設置
環境新聞 3月16日版
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会と廃棄物資源循環学会情報技術活用研究部会が、廃棄物・リサイクル分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を図ることを目的に共同で設置した「廃棄物処理・リサイクルにおけるDX推進のための研究会」(DX研究会)はこのほど、「廃棄物処理・リサイクルに係るDX推進ガイドライン~処理事業者編~」を取りまとめた。同ガイドラインは経営層をターゲットとし、これまでDX推進に踏み切れなかった中小企業等でも理解を深め取り組む第一歩として活用できる内容となっている。合わせて「DX・GX推進指標」「WEB診断プログラム」も作成した。
デジタル化の推進が国全体にとって喫緊の課題となる中、廃棄物・リサイクルビジネスは、廃棄物の適正処理と循環型社会形成推進という重責を担うインフラであるにも関わらず、業務効率化や生産性向上に資するDX促進が停滞している。今後、廃棄物・リサイクルビジネスが業界として持続可能な成長を遂げていくには、DX推進によりデジタル技術を活用し事業継続性強化と抜本的な生産性向上等を行いつつ、脱炭素化社会・循環経済に資する価値提供を行う必要がある。
そこで、デジタル化における業界の底上げを狙い、各社がDXの実現を図るため、廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会と廃棄物資源循環学会情報技術活用研究部会は、関係者からなるDX研究会を開催し、廃棄物処理・リサイクルビジネスのDXに関する課題や方向性、具体的措置等について検討。その成果として、DX推進を図ることを目的としたガイドラインを取りまとめた。
同研究会では、DXによる業界の底上げが重要と判断。ガイドラインは、「DXとは何か分からない」「DXは何からどう始めればいいか分からない」「イニシャルコストが大きいものには手が出ない」といった中小企業でもDXを理解し、始める第一歩として活用できる内容となっている。DX推進に当たっては、経営トップが経験や勘に基づく決断ではなく、しっかりしたデータの裏付けを取って意思決定を行う必要があることから、データドリブン経営を推奨。経営層をターゲットに、経営トップの意識改革を図ることを狙ったガイドラインになっている。
ガイドラインでは、業界がDXにより脱炭素化すなわちGX(グリーントランスフォーメーション)、さらにはCE(サーキュラーエコノミー)の牽引役となることを、廃棄物処理・リサイクルビジネスの目指すべき将来像としている。そこでガイドラインと併せて、廃棄物・リサイクルビジネス各社がDX・GXにおける自社の現状と今後取り組むべき事項を把握するためのツールである「DX・GX推進指標」、自社のDX・GX達成度を診断できる「WEB診断プログラム」も作成した。
同研究会では、同ガイドラインを廃棄物・リサイクルビジネス関係者に広く活用してもらうべく、今後広報活動を行っていく方針で、内容紹介の希望なども随時受け付ける。また、同ガイドラインを簡潔により分かりやすく読んでもらうため、パンフレットなど簡易版の作成も検討している。
内容についても、業界のニーズを拾い上げながら、今後さらに充実を図ることも検討していく予定だ。
「廃棄物処理・リサイクルに係るDX推進ガイドライン~処理事業者編~」について
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会と廃棄物資源循環学会情報技術活用研究部会が共同し、関係者から成る「廃棄物処理・リサイクルにおけるDX推進のための研究会」(研究会)は、廃棄物処理・リサイクルに係るDX推進ガイドラインを策定しました。
本ガイドラインは、廃棄物・リサイクルビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現やDXを実現させる上で経営の在り方と進め方を明確にしており、各社が今後、DXを推進する上での一助となることが期待されます。
「産業廃棄物処理業者DX推進実態調査結果」について 環境新聞 10月13日版に掲載されました。
廃棄物処理リサイクル分野「ガイドライン」策定へ
IoT協議会と資源循環学会が「DX研究会」
処理業界の実態調査実施
環境新聞 10月13日版
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会と廃棄物資源循環学会情報技術活用研究部会は共同で、「廃棄物処理・リサイクルにおけるDX推進のための研究会」(DX研究会)を設置した。廃棄物・リサイクルビジネスにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進策を検討するための会合で、関係団体や有識者を委員として同分野のDXに関する課題、DX推進の方向性、具体的措置等について検討を行い、年度内をめどに「DX推進ガイドライン」の策定を目指している。同研究会でDX推進の方向性等を検討するために、このほど産業廃棄物処理業界を対象に現状の実態や課題等を把握することを目的にアンケート調査を実施。現状の電子化の状況、DX推進体制、収集運搬、廃棄物処理施設、動静脈連携の5分野について調査した。
廃棄物・リサイクルビジネスは、社会経済活動を支える重要なインフラだが、人口減少による人材不足、脱炭素、循環経済の同時達成、加えて新型コロナウイルス感染症への対応といった社会的諸課題への対応が迫られている。これらの対応を図りながら社会インフラとして成長していくためには、DX推進が不可欠となっている。DX研究会では廃棄物処理・リサイクルのDXに関する課題、DX推進の方向性、具体的措置等について検討を行い、技術資料として取りまとめる。
同研究会での検討を踏まえ、DX推進のための取り組みの方向性や、類型別の取り組み事例と取り組み効果等をまとめたDX推進ガイドラインを策定する計画。特に研究会では、中小企業をはじめとしてIT化に未着手の処理業者においても取り組み可能な行動の提起、業界の底上げが重要という問題意識を持っており、まずは産廃業界におけるDXの現状と課題を把握し、具体的措置の検討につなげていく考えだ。
こうした目的から、全国産業資源循環連合会青年部協議会に所属する産廃処理業者を対象に、DX推進に関する調査を行った。同調査で回答があった産廃処理業者(収集運搬業者および処分業者)における電子マニフェスト加入率は89.4%と、全国の加入率27.9%を大きく上回っていることから、回答者は産廃処理業界で電子化に対する意識が高い層であると考えられる。電子契約導入率については回答者全体では58.5%と全業種平均の67.2%を下回っているが、売上高10億円以上の大手に限れば70.8%と上回った。
DX推進戦略・ビジョンを策定している産廃処理業者は、売上高10億円以上の大手では36.2%と、全業種平均の27.3%を上回っている。かねてから「人手不足」や「デジタル化の遅れ」による非効率性が指摘されている中、特に大手ではそうした問題意識がすでにDX導入着手の必然性に結びついているものと考えられる。ただ、ちゅうしょうでは9.4%に留まっている。また、収集運搬業ではドライバー人材不足が顕著だが、業務効率化につながる「配車ルート設定のデジタル化等」の導入は十分に進んでいないという実態が明らかになった。製品を製造する「動脈」とリサイクルを行う「静脈」とが連携する「動静脈連携」に資する情報共有システムの構築も課題となっている。
先般開かれた同研究会会合では今回の調査結果を踏まえ、業界構造自体が大手と中小で二極化しており、インターネット活用を含むIT化が進んでいない事業者が一定数存在することも加味した底上げ策の検討が必要という指摘があった一方、DXという面からも世の中の動向から置き去りになるという危機感の提示も必要という認識が共有された。今後、ガイドラインの内容検討において、廃棄物処理の各業務に則したDX推進の具体検討や、「動静脈連携プラットフォーム」等の提言に関する具体的モデルの提示等が進められる見込みだ。
「産業廃棄物処理業者DX推進実態調査結果」について
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会及び(一社)廃棄物資源循環学会情報技術活用研究部会は、廃棄物・リサイクルビジネスにおけるDX推進を図るため、「廃棄物処理・リサイクルにおけるDX推進のための研究会」を開催しています。
DX研究会では、産業廃棄物処理業界における、DXの取組状況や、DX推進に関する課題を把握するため、全国産業資源循環連合会青年部協議会の協力の下、会員企業を対象にWEBベースでのアンケート調査を実施しました。
本調査では、①電子化の現状、②DX推進体制、③収集運搬、④廃棄物処理施設、⑤動静脈連携について実態を調査しました。
DX研究会では、本調査結果も踏まえ、廃棄物・リサイクルビジネスにおけるDX推進ガイドラインの策定を目指しています。
「令和を拓く 資源循環イノベーション (19)」 環境新聞 1月13日版に掲載されました。
データ駆動型資源循環の萌芽と課題
~サーキュラー・エコノミーにおける情報通信技術の役割~
環境新聞 1月13日版
2020年5月に経済産業省から公表された「循環経済ビジョン2020」では、廃棄物・環境対策としての3Rの延長ではなく経営戦略・事業戦略として、循環性の高いビジネスモデルへ転換を図ることが重要とされる。動脈産業にはリサイクルまでリードする循環産業へ、静脈産業にはリサイクル産業からリソーシング産業への転換が求められている。ICT、特にIoT、ビックデータ解析、AIの活用は、転換のためのキーテクノロジーの1つである。
まず静脈産業におけるICTイノベーションの状況を概観する。収集運搬では、IoTセンサによる排出状況把握、リアルタイム情報を活用した配車配送計画の最適化が期待される。これまで島津製作所と京都環境保全公社による大口・小口の共同回収や、福岡県リサイクル総合研究事業化センターによる廃棄太陽光パネル(PV)の収集ルートの最適化実証例がある。センサについてコスト面に課題があるとされるが、十分な精査なしに海外製品が利用されている例が多い。配車配送計画については多くの研究蓄積があるが、ビッグデータを活用した機械学習、深層学習について我々も研究を進めている。
選別では、ラインの省人化と速度・精度向上の両立が想定され、建設廃棄物ではすでにシタラ興産等に海外技術の導入実績がある。小型家電やプラスチックを対象としたNEDOプロジェクトが進行中であり、産業総合技術研究所を中心に研究開発が進んでいる。
処理施設の運転については、一般廃棄物の大規模焼却施設において、JFEエンジニアリング等において実装化されいる。操業データや警報履歴などを蓄積し最適運転モデルを構築することで、遠隔監視・操業支援を実現するものであるが、運転技術やメンテナンス等の様々な情報のデータベース化とAI活用が次のステップとされる。中小規模施設の多い産業廃棄物焼却炉への展開が期待されるが、特に故障の予兆診断による長期的稼働率の向上が課題であり、和歌山大学で研究が進んでいる。
処理後の再生利用については、資源の需給マッチング機能による再生材の安定供給が期待される。マテリアルリサイクルだけでなく残渣の熱回収を考慮し、熱需給マッチング機能を有するとさらなる資源効率性向上につながる。再生資源のマッチングはリサイクルハブ等の例がある。資源と熱の同時マッチングについて、国立環境研究所において検討がなされている。
ここまで静脈のプロセス毎に概説したが、製品のライフサイクル管理による資源効率性向上も重要な視点である。富士ゼロックスは、複写機に使用履歴情報を蓄積、リースアップ時にその情報を読み出しDB化、部品単位で余寿命判断を行うことで再生可否を診断するシステムを実用化している。従来からリース、レンタルが進んでいる分野ではこのような動きは知られているが、使用済製品の自主回収や静脈産業と連携したリサイクルルート等、クローズドループに近いしくみでは製品ライフサイクル管理の展開は可能であろう。
循環経済ビジョン2020では、市場・社会からの適正な評価を得ることが、ESG投資とエシカル消費の呼び込みにつながり、ひいては循環性の高いビジネスへの転換につながると謳われる。消費者の3R行動の効果の見える化とインセンティブ付与にICTを活用することが期待される。実証例として、NTTドコモの食品ロス削減事業がある。賞味期限・消費期限の近い食品を購入した消費者に、専用のスマートフォンアプリを活用してポイントを付与する仕組みである。
最後に、ICTを用いて動静脈連携、一体的最適化を進める機能としての情報プラットフォーム(PF)の可能性に触れる。情報PFには、トレーサビリティ、物質情報の管理、資源・エネルギーの需給マッチングの機能が具備されることが期待される。有害物質やリサイクルの忌避物質情報を蓄積することで、自動選別の精度向上が可能となる。製品・分野特定型PFでは、プラスチックやPV等の展開が考えられる。分野・製品横断的PFとともに、サーキュラー・エコノミーにおいて果たす役割は大きい。
「令和を拓く 資源循環イノベーション (18)」 環境新聞 12月9日版に掲載されました。
DXのビジネス戦略を考える
自社コアビジネスの補完財が何かを考えるべき
環境新聞 12月9日版
本連載の第1回は2019年7月であった。それからまだ1年半ほどが経過したに過ぎないが、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉の認知度は大いに高まっており、資源循環分野でも数多くの取り組みがなされている。DXの形は様々であり、まさに創造的なイノベーションが期待されている。DXをベースにしたビジネスでしばしば登場するキーワードにプラットフォーマーがある。プラットフォームとは、モノやサービスの展開の土台となる場所であり、様々な情報を集めたり交換したりすることができる。プラットフォームの最も有名な例は、インターネットであろう。そのインターネットというプラットフォームを土台に「追加コストなし」「完全再現」「瞬時性」というデジタル社会の特徴を最大限に活用して、多くの新しいDXイノベーションが稀にみる早さで生まれ続けている。本稿ではDX実装の技術的な課題ではなく、DXが現実となった場合の企業間のビジネスにおける競争環境の特徴について考えてみたい。
イノベーションのスピード感が研究者の関心を高めたこともあり、経済学の「産業組織論」という分野を中心にプラットフォーマーがとる戦略的行動について興味深い研究が数多く生み出された。そのうち、本稿ではオンライン to オフライン (O2Oと呼ばれる)のプラットフォームで重要な「繰り越せない在庫」と「補完財」について考えたい。製造業の在庫と異なり、廃棄物処理などのサービス提供は今日の余ったキャパシティを翌日に繰り越すことはできない。明日には消えてしまう在庫なら安くても販売できるにこしたことはない。これは航空機の座席や英会話スクールの予約の空きなどの動脈産業にも当てはまる。「繰り越せない在庫」を持つ企業は「レベニューマネジメント」と呼ばれる手法を駆使して利潤最大化を目指しているが、レベニューマネジメントとプラットフォームは大変相性が良い。O2Oの分野でレベニューマネジメントを徹底して成功してきたのが、UberやAirbnbである。廃棄物処理業も「繰り越せない在庫」を持つ企業であり、今後のDXビジネス戦略において、レベニューマネジメントの視点は欠かせないものであるとともに、強力な武器になるであろう。
もう一つの重要な視点が「補完財」の存在である。補完財とは、一方の財の価格が下がると他方の財の需要が増えるような関係にある財のペアをいう(専門用語では交差価格弾力性が負となる財)。「コーヒーとミルク」や「万年筆とインク」などが補完財にあたる。デジタル社会では、例えばiPhoneへの需要はApple Storeに無料アプリが増えれば増えるほど高まっていくと考えられるので補完財の関係にある。ここで注意すべきことは、補完関係にある財の両方を販売している企業は、ライバルとの競争に直面した場合、一方の財の価格を下げることで自社の利益を拡大できる可能性がある点である。例えば、Uber Eatsが自身の補完財であることに気づいたためかどうかは分からないが、某バーガーチェーンは都心部を中心に自前の配達網を構築し始めている。この自前の配達網で原価割れのような価格設定をしたとしても安い金額で配達してくれるならと、(値下げしていない)ハンバーガーの販売が伸びるのであれば、配達の赤字を補っても利益を伸ばすことができる可能性がある。しかもUber Eatsはそのような戦略をとることはできないので不毛な価格競争には発展しないであろう。デジタル社会の技術革新に伴って、O2Oプラットフォームビジネスは資源循環分野にも拡大していくと考えられる。DXという新しい未来のイノベーションがすぐそこまできている今こそ、自社のコアビジネスについてその補完財が何であるかを立ち止まって考えてみるべきときなのかもしれない。
「「令和2年度総会」を開催致しました。」を開催致しました。
令和2年12月に「令和2年度総会」を開催致しました。を開催致しました。
参加者は70名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
「令和2年度総会」を開催致しました。
・開会
・開会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 藤井実会長
・来賓挨拶
環境省/経済産業省
・講演1
『資源循環システムズ株式会社の設立~廃棄物処理・リサイクル分野のDX実現を目指して~』
資源循環システムズ株式会社 ディレクター 瀧屋 直樹 様
・講演2
『廃棄物処理・リサイクル分野のDX技術資料の作成について』
公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団 企画部長 改田 耕一 様
・各ワーキンググループ の今後の活動方針
-低炭素化ワーキンググループ
-ロジスティクス高度化ワーキンググループ
-新規事業創出ワーキンググループ
-海外事業促進ワーキンググループ
・決議事項
・閉会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 小野田弘士副会長
・閉会
「令和2年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
令和2年11月に令和2年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナーを開催致しました。
参加者は40名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
令和2年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー
・開会
・開会ご挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT 導入促進協議会 会長 藤井実
(国立研究開発法人国立環境研究所社会環境システム研究センター環境社会イノベーション研究室室長)
・セミナー1
『広島県における次期廃棄物処理計画の骨子案について―デジタル技術を活用した資源循環を中心』
講師:岡田 誠司 様(広島県環境県民局循環型社会課長)
・セミナー2
『ようこそ!キヤノンエコテクノパークへ~キヤノンエコロジーインダストリーの取り組みとエコテクノパークのご紹介~』
講師:岩間 秀男 様(キヤノンエコロジーインダストリー 株式会社 事業開発推進部 部長)
・閉会
「令和を拓く 資源循環イノベーション (17)」 環境新聞 11月11日版に掲載されました。
廃棄物処理分野におけるDX促進への期待
労働人口減少下でも実効性を保つため制度間連携を
環境新聞 11月11日版
本稿の執筆にあたり、「令和」を拓くために、「平成」期の社会問題の解決のため築かれた廃棄物施策の意義や課題の積み残しを振り返る必要性を念頭に、私見を申し述べる。
本年のコロナ禍によって、国民は多くの気づきを得た。「働き方改革」はこれまでお題目に過ぎなかったが、テレワークによって都市部を中心に一気に加速した。一方、請求・契約等の押印・社内決裁、交付金支給の行政手続など、官民とも電子化の立ち遅れに直面した。このため、「デジタル庁」が新政権の看板政策の一つとなり、脱ハンコやペーパーレスを目指す電子帳簿保存法も改正された。
廃棄物分野も、事務系のテレワークの必要性は他業種と同様であり、脱ハンコ等により電子契約も拡がると思われる。また、処理業界は成長に向けて創意工夫で取り組めるDXに挑戦し続けるであろう(表参照)。
一方、廃棄物分野の地方行政においては、平成12年に政治主導で地方分権が進められたことはデジタル化には不利で、処理業界のみならず行政コストも膨れた。地方ごとに産業構造や地勢的条件、歴史的経緯等が異なり、実態に合った監視や判断が必要な施策が存在する。しかし、広域処理が必要な廃棄物も多く、許可や届出等の手続が地域毎に異なり、標準化が進みにくくなっている。加えて、個人情報保護とサイバー攻撃の脅威によって情報共有がさらに難しくなり、結果として行政間の縦割りが強まり、行政・民間双方の効率を下げる悪循環に陥っている。今後関係者の協力によって情報共有が進むよう、当財団も微力ながら業務にあたっていく所存である。
他にも、データ共有や制度間連携により行政・排出事業者・処理業者の負担を軽減できる可能性はあるのではないか。科学技術先進国の我が国では、排出事業者が化学物質を含む製品製造から処理までに関わる主な制度や手続として、SDS制度、PRTR制度、廃掃法委託基準に基づく契約締結とWDS(廃棄物データシート)による情報伝達、マニフェスト制度、処理状況の現地確認義務など、数多くの制度等が整っている。これらには共通する情報が少なからず存在するが、制度ごとに特定の目的があり、それぞれを別に管理する排出事業者の負担は大きく、特に中小企業には厳しい状況にある。例えばWDSによる廃棄物の情報伝達においては、廃棄物の性状が製造・排出時のロット毎に変動し、時には排出者自身が気づいていない可能性もあり、こまめな性状確認と情報伝達が求められる。対象廃棄物の該当法令や有害特性等の重要情報について、電子マニフェストへの登録を義務化すれば、排出の都度、排出者が廃棄物性状を確認・伝達するようになり、それこそが排出事業者責任履行の本来あるべき姿となろう。一方、電子マニフェストとPRTR制度など他制度と重複する情報があれば、管理を一元化して負担を軽減し、排出事業者は本来業務に経営資源を集中できるようになる。
制度間連携が本当に現場の効率化につながるか、事前に詳細検討が必要だが、労働人口減少下でも各制度の実効性を保つために検討すべき方向性と思われる。
本協議会は、上記含む様々な課題に対して、関係者が立場を越えて解決に向けて自由に知恵を出し合い協議する場として貴重な存在となっている。今後の益々の発展と情報発信の強化に期待したい。
「令和2年度第2回ワーキンググループ」を開催致しました。
令和2年10月にオンラインにて令和2年度第2回ワーキンググループ
(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ120名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
令和2年度第2回ワーキンググループ 議事次第
・開会
・グループディスカッション
低炭素化ワーキンググループ
ロジスティクス高度化ワーキンググループ
・講演
「経済産業省におけるDX推進施策について」
経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課 大谷 慧様
・グループディスカッション
新規事業創出ワーキンググループ
海外事業促進ワーキンググループ
・閉会
「令和を拓く 資源循環イノベーション (16)」 環境新聞 10月14日版に掲載されました。
情報通信技術を活用した廃棄物処理業における安全管理の高度化
生産性向上の視点も合わせ持つことが重要
環境新聞 10月14日版
近年、情報通信技術を活用することにより、多くの産業において利便性の向上や課題の解決が図られるようになっている。こうした中、情報通信技術の導入が期待される分野の一つが安全管理である。廃棄物処理業における労働災害の度数率(100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数)や強度率(1000延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数)は全産業平均の数倍と非常に高く、「墜落・転落」「挟まれ・巻き込まれ」「転倒」などの事故が多く報告されている。一方、地球温暖化による気温上昇に伴い、熱中症の危険性は今後増大していくと考えられるが、廃棄物処理業においても、一般廃棄物の収集運搬や開放的な施設での選別作業等があり、夏場における熱中症の予防が大きな課題になると考えられる。こうした問題の解決にも情報通信技術の活用は有効である。
安全管理の高度化に向けては、工程の無人化や省力化、工程や設備の異常検知や予知、作業員の生体情報や行動のモニタリングによるリスク解析、安全に関わる教育訓練等に情報通信技術が活用されるようになってきている。ここでは、作業員の生体情報や行動のモニタリングによるリスク解析について紹介したい。
作業員の生体情報のモニタリングは、作業者の心拍数、体表温度などの生態情報を把握して、これを安全管理に役立てる方法である。熱中症の予防には、暑さ指数(WBGT)を用いた一律的な管理がよく用いられるが、同じ暑さ指数値であっても、作業者によって熱中症の危険性は異なる。また、同じ内容の作業であっても作業者によって労働強度(労働負荷)は異なる。産業廃棄物処理施設の作業者、一般廃棄物収集運搬の作業者を対象に筆者らが行った実態把握でも、同じ作業環境下にいる作業者の危険度は作業者により異なっていた。また、実際に、熱中症の危険性が高いと判定されるケース、ヒートショックの危険性があると考えられるケース、危険な労働強度と判定されるケースも確認された。スマートウェアや腕時計型の計測装置を用いて心拍数等の生態情報をリアルタイムで把握することで、熱中症の予防や労働強度の管理に役立てることができる。
作業員の行動のモニタリングは、作業者や機器・設備の位置情報を把握して、これを安全管理に役立てる方法である。冒頭で触れたように、廃棄物処理業においては「墜落・転落」「挟まれ・巻き込まれ」「転倒」などの事故が多く報告されている。カメラやビーコン等の装置を用いて、作業者の位置情報や作業者と機器・設備の間の距離を把握し、危険領域への作業者の侵入や作業者と重機の接触可能性を前もって検知し、警告を発することにより、事故を予防することが可能となる。
また、こうした生体情報や位置情報と、作業内容や作業環境に関する情報を多く蓄積することができれば、どのような作業内容や作業環境が熱中症の危険性や労働強度を高くするのか、どのような作業者の動きや作業環境が転落、接触等の事故に繋がるのか等を定量的に分析することが可能になる。このようなリスク解析に基づき、危険度の高い作業を機械で置き換えたり、作業内容やシフトを再検討したり、事故につながる作業者の動きを防止したりすることにより、予防的な安全管理を行うこともできるようになる。
なお、こうした対策は潜在的に作業の生産性を高めることにも繋がると考えられる。例えば、作業内容やシフトを再検討することで作業効率を向上させたり、事故につながる作業者の動きを防止することで無駄な動きをなくしたりすること等が可能になる。もちろん、事故が無くなることそのものが生産性を向上させる。安全管理対策には生産性向上の視点も合わせ持つことが重要である。
「令和を拓く 資源循環イノベーション (15)」 環境新聞 9月9日版に掲載されました。
地域循環共生圏の構築に向けて
ハードだけでなくソフトも活用した仕組みづくり
環境新聞 9月9日版
2018年に閣議決定された第五次環境基本計画の中で示された『地域循環共生圏』は記憶に新しい。環境省の言葉を借りれば、地域循環共生圏とは、各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方として示されたものである。当社が行っている環境サービス事業についても、地域のインフラ事業として地域との対話が欠かせない事業であり、地域課題を解決する上で「サステナブル」「地域との信頼関係」といったキーワードの積み重ねにより実現したもので、この基本的な考え方が『地域循環共生圏』構想と一致していると考えている。
今後ますます人口減少、財源不足に悩む自治体が増えていく中で、当社では官から民への流れを促すことでより効率的な廃棄物処理運営を可能にするスキームの経験を積み重ねている。当然これらの経験を生かしたソリューションの提案に際しては、長きに渡って地域と一体となって課題を解決すべく、地域への資本投下を含めた事業展開を視野に入れ、地域で発生する廃棄物は地域の資源として活用し、エネルギーは地産地消し、雇用創出にもつながる『地域循環共生圏』の実現を目指してグループの総力を挙げて取り組んでいる。
また、環境サービス産業では、「施設(ハード)」からの発想だけでなく、それを機軸に「仕組み(ソフト)」を組み立て各地に展開していくということが「地域循環共生圏」創造には不可欠である。当社では、その実現にあたり、オープンイノベーションを活用し廃棄物処理事業を軸とした地域ソーシャルビジネスの創出や、既存事業とAI・IoTなどを組み合わせた新たな事業モデルの構築を行うべく(株)大栄環境総研を設立した。大栄環境総研では、最初の足掛かりとして環境分野におけるAI・IoT技術を保有する(株)イーアイアイとパートナーシップを結び、当社の事業所を実証フィールドとして活用し、早期の社会実装を目指したソリューションを開発している。
本稿では、そのAI・IoT活用ソリューションの1つとして取り組んでいる事例を紹介する。近年、破砕機において小型家電などに搭載されたリチウムイオン電池が原因の火災が増加している。本来であれば、なるべく上流側で電池を取り除くことが理想であるが、どうしても廃棄物の中に電池が混入してしまい、破砕機にて破砕された瞬間に火花や高温熱源の火種となり周辺の廃プラなどに引火し火災が発生してしまう。当社では(株)イーアイアイと連携し、この問題に対して『AI火花検知システム』を構築した。これは、破砕後のベルトコンベア上に設置される火災検知器とは別に、画像認識AIを用いた火花検知システムを設置することで火災になる前段階の火花を検知し散水を行うシステムである。さらにいえば、可視化機能も備えていることから火災まで至らず火種だけで終わったケースも検知し原因を特定することができるようになるため、潜在的なリスクを定量的に洗い出すことも可能になる。2020年度6月より実機にてテスト運用を進めており、近いうちに商品化される予定である。この技術は、廃棄物処理を行う事業者にとっての火災リスクを抑えるだけでなく持続可能な資源循環サイクル、つまり地域循環共生圏の実現に寄与するものである。
当社では他にもコロナ対策として新しい生活様式に対応した非接触型の自動ごみ収集技術や属人化しがちでアナログな作業の多い配車の自動化など様々な業界共通の課題に対する取り組みを進めており、本協議会などを通して情報発信することで、廃棄物処理業界のイメージアップや業務効率化、脱炭素の一助となれば幸いである。
「令和を拓く 資源循環イノベーション (14)」環境新聞 8月5日版に掲載されました。
デジタイゼーションからデジタライゼーションへ
資源循環に係る情報管理の高度化に貢献
環境新聞 8月5日版
電子マニフェストの登録件数は令和元年度で3100万件を超え、紙を含めた全マニフェストに占める割合(電子化率)は、63%と推計している。処理を委託される産業廃棄物の移動データの過半数を電子的に把握できるようになったことで、従来は即時に把握することが難しかった産業廃棄物処理の状況を可視化できるようになってきている。
例えば、経済全体に大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症が産業廃棄物の処理に与えた影響も、時を置かずに電子マニフェストで把握される委託量から確認することができる(図参照)。
2020年のグラフは過去3年に比して5月の委託量が大きく落ち込んでおり、4月に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令され、5月末に同解除宣言がされるまでの期間、経済活動の停滞にともない産業廃棄物の排出も低調であったことが分かる。さらに排出事業者の業種別、廃棄物の種類別に細分化して分析を行えば、大きく影響を受けた分野を特定することも可能となり、これに対応した施策を立案する一助にもなるだろう。
今回の新型コロナウイルス感染症や大規模な災害への対応など即応性を求められる政策立案の現場において、アンケート等によらず現状把握できる即時性の高いデータの価値はますます高まるものと考えている。個々のマニフェストデータは民間の事業者それぞれが廃棄物の適正処理のために作成し管理するデータであるが、これが集まりビッグデータとなれば大きな価値を生む。
こうしたデータ利活用は、デジタルガバメント実行計画が目指す「官民を問わず、データやサービスが有機的に連携し、新たなイノベーションを創発する社会」に通ずるものといえる。電子マニフェストのデータもまた、イノベーションの種となる循環型社会の重要なデータとなる。
しかし、そもそもマニフェスト制度はデータ取得を主眼として設計された制度ではない。平成初期の社会情勢のもと、産業廃棄物の適正処理を実現するための紙マニフェストによる運用を念頭に設計されている。これを当時の技術でできうる限り合理的に電子化しようという思想で電子マニフェスト制度も設計されているが、まずは紙のやり取りをデジタルに置き換える「Digitization(デジタイゼーション)」が優先され、データ利活用は二の次となった。このため、電子化率が向上しデータ利活用が期待される今日においても、把握するデータの範囲や数値の精度の面で課題を残した状況となっている。
令和という新しい時代となった今、精度の高い情報を簡便に取得するためのセンサー技術・画像認識技術やビッグデータを解析する技術は目覚ましい発展を遂げている。現場に負担をかけずに精度の高い廃棄物データを取得し、マニフェストに反映させることも可能となってくるだろう。産廃処理委託契約も電子契約によることが可能となり、既に一部では便利に活用されている。
(公財)日本産業廃棄物処理振興センターでは、こうしたデジタル技術の発展を踏まえ、デジタルを前提とした次の時代の新たな社会基盤を構築するという「Digitalization(デジタライゼーション)」の観点から、電子マニフェストの運用や外部データとの連携について検証し、資源循環に係る情報管理の高度化に貢献していきたい。
「令和を拓く 資源循環イノベーション (13)」環境新聞 7月8日版に掲載されました。
時間最小化と等価値化のイノベーション
「資源占有時間のフットプリント」の提案
環境新聞 7月8日版
鉄は鉄、アルミはアルミとして何度もリサイクルすることが望ましい。一方でプラスチックや紙、木材などの廃棄物には様々な使い道があり、廃棄物の性状に合わせて適材適所で利用することが重要である。例えば材料リサイクルが困難な雑多な廃プラスチックや古紙も、その焼却熱を近隣の工場に供給して、ボイラーの化石燃料消費を削減できれば、材料リサイクルに比肩する二酸化炭素の排出削減が可能である。適材適所での利用が資源循環の最適化に繋がるが、適材を適所に運んで利用するプロセスもやはり、最適化されなければならない。
資源循環の最適化には、最適であることを測る基準もまた重要である。幾つかの指標が考えられるが、最も重要な指標の1つは「時間」であると筆者は考える。時間を最小化することが、最適化における目的関数になる。廃棄物を輸送する時間の最小化、中間処理のロボット化による処理時間の最小化など、複数の時間の合計を最小化することになるが、時間は必ずしも人を拘束する時間だけではない。筆者は、「資源占有の時間フットプリント」という、持続可能性を評価する指標を提案している。この指標では、金属資源などの「物質」、「土地」、「労働」、「環境汚染物質の収容力」といった異なる項目の広義の資源の占有量を計測する。占有の大きさは、各資源の有限性を考慮して規格化することで、総て時間の単位に換算して示すことができ、占有時間が短いほどより持続可能であると言える。資源循環などの環境対策の実施には異なる項目間でトレードオフが生じるケースも多いが、総ての項目でその影響が時間の単位で表されるので、改善・悪化の比較評価が容易になる。また、人の一生の時間と比較して、時間フットプリントが短ければ持続可能であるというように、絶対評価を行うこともできる。
資源循環の最適化には、マッチングを促進するための情報プラットフォームの整備が不可欠であると考えるが、最適であることを人が判断するにしても、あるいはAIが判断するにしても、時間の最小化については人の作業時間だけでなく、広義の各資源を占有する時間も考慮して総合的に評価することにより、真に効果的な資源循環の促進に繋がるイノベーションを起こす余地がある。
環境対策では項目間のトレードオフが生じやすいと述べたが、どの項目の時間フットプリントも同時に小さくする方法がある。それは、同じ価値があるとみなす範囲を広げることである。シェアリングエコノミーは典型例の1つで、製品を自分で所有することと、複数で共有することとを同じであると捉えることや、新品を購入することと中古品を購入することの価値をある程度同一視することで、製品の製造・廃棄に関わるどの項目の時間フットプリントも低下させることができる。また、フランス産のワインでなくても、国産のワインに同じ価値を感じることができれば、輸送に伴う時間フットプリントを軽減できる。極論すれば和食も中華料理も同じだと言えば当然語弊があるだろうが、等価値化の対象範囲は、筆者の想像できる範囲を超えて、おそらくもっとずっと広く、時間を大幅に削減するイノベーションの余地があると考える。等価値化は多様性の喪失に繋がるので注意は必要だが、例えばシェアする自動車の本体は共通でも、液晶表示されるインストルメントパネルのデザインは利用者ごとに選べるなど、スパイス的な追加要素で差異を出す工夫も必要になるだろう。
IoTやAIは時間の最小化を強力にサポートするが、最小化する範囲を決めるのは人である。そして労働時間を最小化して生じた余暇は暮らしの質の向上に使い、資源の占有時間の最小化で生じた余剰は新興国で有効利用し、土地の占有時間の余剰は生態系の保全に利用する。時間の使い方を改めて考えたい。
「令和2年度第1回ワーキンググループ」を開催致しました。
令和2年7月にオンラインにて令和2年度第1回ワーキンググループ
(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ60名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
令和2年度第1回ワーキンググループ 議事次第
・冒頭挨拶
・「Postコロナ」の廃棄物・リサイクルビジネス
・ディスカッション
・その他
・閉会
「令和2年度第1回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
令和2年7月にオンラインにて令和2年度第1回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナーを開催致しました。
参加者は延べ55名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
令和2年度第1回ワーキンググループ 議事次第
・開会
・開会ご挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 会長 藤井実
(国立研究開発法人国立環境研究所 社会環境システム研究センター 環境社会イノベーション研究室 室長)
・セミナー1
『ポスト・コロナで起こる変化 第2波は“仕方ない”では済まされない!
~今すぐすべきことと、今からはじめておくべきこと~』
講師: 北島 隆次様 (TMI総合法律事務所 弁護士)
・セミナー2
『ピンチをチャンスに!ポスト・コロナでIoT活用&働き方を改革』
講師: 柿澤 至倫 様 (ユニアデックス株式会社 DX ビジネス開発統括部 担当部長)
・閉会
「令和を拓く 資源循環イノベーション (12)」環境新聞 6月10日版に掲載されました。
廃棄物処理・リサイクルシステムのイノベーションに向けて
業務の中枢に情報システムを組み込むことが重要
環境新聞 6月10日版
本稿では、これまで廃棄物・リサイクル行政等に従事してきた一行政官としての私見を述べる。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、我が国の経済社会にも多大な影響をもたらしている。コロナ後の経済社会システムを予見することは容易ではないが、我々が歴史上の大きな転換点に立っていることは間違いないところであり、変容した新しい経済社会への対応という命題を突きつけられている。
廃棄物処理・リサイクル分野も例外ではない。これまでの解決方策である設備投資を支えてきた経済成長は鈍化し、加えて、廃棄物量や循環資源量の減少がスケールデメリットの形で経営を直撃している中で発生したコロナショックは、効率的かつ効果的な課題対応のニーズをいやがおうにも高めているといえよう。
廃棄物処理・リサイクル分野が抱える課題解決策として、先端技術の導入が期待されている。特に、IoT、ビッグデータ、AI、ロボット等の第四次産業革命を牽引する情報通信技術は、国民生活を豊かにし、企業活動の効率性を高め、新たな業務展開につながるだけでなく、社会に浸透、普及することによってさらなる可能性を秘めている。本連載でも、様々な観点から提案・提言がなされているところである。
これまで利用していなかった技術を新たに導入するに当たっては、経営者は、事業にとっての技術の有用性を理解し、導入、運用、管理等に要するコストや労力に見合った便益があることを見極める必要がある。圧倒的な物量不足の状況では、これまでなかった施設・設備が「ある」だけで十分な便益であったが、情報通信技術は、業務のイノベーションを可能にすることで大きな便益をもたらすものである。
効果を上げるために重要なことは、業務の実施方法の見直しとシステムの構築を同時に進め、業務の中枢に情報システムを組み込むことである。業務の実施方法の変更による効果と影響を事前に見通すことは失敗しないために不可欠なステップであり、ギャップ分析やベンチマーキングは、経営管理システムに不足している点、改良したい事項を抽出し、経営戦略を立てるうえで有効である。筆者の経験では、ISO55001は、こうした分析・検討に有用なツールである。
廃棄物処理・リサイクル分野は、取り扱う対象物がバッズであり、業務が他律的である。経営体力が弱い中小企業が多く、導入拡大に当たって他分野より高い障壁が存在していると感じている。
しかしながら、これらの弱みは、改善・発展の余地が大きいという強みでもある。例えば、情報プラットフォームにより、排出者・処理業者・再生資源の利用者がつながることで、自立性を高めた業務運営が可能になる。自動化・無人化技術は、コロナ対策としての感染性廃棄物対策のみならず、正体不明の有害物質から作業者を守り、熱中症や粉じん対策として作業者を守り、作業の効率性を高め、人員の確保につながるであろう。
環境省では、競争的資金である環境研究総合推進費により、環境行政上の重点課題を解決するための調査研究や技術開発を推進し、次世代事業として実証・実用化を補助するとともに、実用化された後には実施設で補助する仕組みを設けている。また、行政調査として実施している各種実態調査や、マニュアル・ガイドライン、先進事例集の作成等により、関係者を支援している。多くの企業や大学、研究機関等が本分野に関心を持っていただければ幸いである。
そして、関係者により開発された各種の技術が、当該事業者のみならず、廃棄物処理・リサイクルシステム全体のイノベーションに貢献することを切に願うものであり、そのためにも、廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会のような様々な立場の関係者が集まる場において、成功事例や失敗事例を共有することで、社会全体として情報通信技術を活用し尽くせるよう、また、経験の中から新たなニーズやシーズを見つけていただけることを期待している。
「令和を拓く 資源循環イノベーション (11)」環境新聞 5月13日版に掲載されました。
サーキュラー・エコノミーは”Why”から”How”の段階へ
技術開発とルール作りを両輪で進めることが重要
環境新聞 5月13日版
昨今、欧州を中心としてサーキュラー・エコノミーに向けた大きなうねりが生じている。直近では3月に、欧州で新たな”Circular Economy Action Plan”が策定され、長期間の使用・再利用・修理・リサイクルが容易な製品設計や、できる限りリサイクル素材の活用を義務化する方向性が打ち出されている。
資源のひっ迫や、気候変動など他の課題とのリンケージ、経済政策としての意義など、サーキュラー・エコノミーの必要性、”Why”レベルの議論は既に終えており、グローバルな議論の中心は”How”、つまり如何にして実現していくかに移っている。
その実現に必要なのは、各主体がそれぞれの専門的知見を補い合って技術開発とルール形成を一体的に進めるオープンイノベーション的な手法である。
例えばある素材のリサイクルを考えるだけでも、製造時のリサイクルしやすい素材の利用、それをトレースし、素材としての品質を保証する技術や仕組み、効率的な収集運搬、AI等を活用した低コスト・高精度な自動選別、素材メーカーの活用技術と、異なる技術が多数必要となり、1社で全てをカバー、解決するのは現実的ではなく、自社の強みやどの部分で利益を出すかを考えた上で、適切にパートナーを探索、連携していく必要がある。
現在、既に部分的な技術開発は進んでいる。トレースのためのRFIDに関しては国においても価格の低減に向けて旗を振っているし、効率的な収集運搬に関しては白井グループや大栄環境、NECやNTT西日本などが開発や実証を進めている。自動選別に関してはシタラ興産が自動選別ラインを実証的に導入するなどしている。今後、こういった取組が核となり、より大きなエコシステムに分かれてお互いに協調・競合していくと予想され、この分野で事業化を目指す企業は、その動きについてセンシング、流れを見極めて乗っていくことが必要となる。
もう一点、このオープンイノベーションの枠組みを作る上で必要な視点が、「ルール形成」である。静脈インフラに関しては、これまで大量消費社会の中で様々な物質の適正処理をいかに確保するかという観点で整備が進んでおり、規制産業となっている。一方で、例えば広域でのマッチングをビジネスとして成立させるためには、収集運搬効率化のための混載や積替えといった規制緩和や、リサイクル素材としての品質を担保するためのプロセスや素材の規格化など、ルールに関する検討が必要になる。
特にこの分野では、新しい技術や専門的知見(不法投棄防止や適正処理の担保等従来の法益維持に関する技術を含む)をもつ企業と国や自治体が同じ場で議論し、技術開発とルール作りを両輪として進めていくことが重要である。なお、当然ながら、利益を出す、市場として成立する、という観点も含めて議論することが必要である。
これまで抽象的に述べきたが、上記を体現する実例を2つ紹介することで本稿を締めたい。
一つの例は小田急電鉄である。同社は、官民連携してのオープンイノベーションの考え方を取り入れて、鉄道やバス事業を担う「モビリティ企業」として培った知見を梃に、静脈企業などサーキュラーの担い手とともに収集運搬ルートの最適化等、静脈インフラの強靭化や、「まちづくり企業」として自治体や排出事業者も巻き込んだスマートシティ事業、マッチング事業等を構想中であり、既にこの領域で事業化を実現している米国ルビコン・グローバル社とも連携し、地域のサーキュラー化に向けた取り組みを始めている。
もう一点、本連載を行っている廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会も、官民様々な主体が参画し、新しいルールやビジネスの在り方を議論、実際にパートナー探索を行う場として機能している。今後も協議会が果たす役割は大きいことを指摘しておきたい。
「令和を拓く 資源循環イノベーション (10)」環境新聞 4月8日版に掲載されました。
廃棄物処理分野での海外展開と資源循環イノベーション
異なる成長パスを見出し、技術、政策等を産み出して実践
環境新聞 4月8日版
廃棄物処理の課題は、国や地域の発展レベルに応じて異なる。先進国では都市生活から発生する廃棄物を衛生的に収集し、処理、処分を行うシステムはほぼ構築されており、循環型社会、循環経済を志向する中で資源循環イノベーションが必要であり期待されている。一方で、開発途上国さらには中進国でも、自治体の最終処分場がオープンダンピング方式のままで衛生的なごみ処理が完結していない国が少なくない現実がある。これらの国では、資源循環はインフォーマルセクターと市場原理に依拠して機能しており、物質回収、再資源化、焼却処理といった中間処理段階での行政主導は少なく、先進国では実績のあるWaste to Energy(WTE)での発電高効率化やごみ燃料化等による資源循環・エネルギー利用高度化への意識は低い。長期的には先進国と同様の方向性が期待されるが、短期的には社会経済状況に応じた先進国とは異なる形態の「イノベーション」が求められる。
筆者が主に業務の対象としてきた途上国での経験では、環境教育等の場では3Rという語は思いのほか浸透している。また欧州委員会の規定(Directive 2008/98/EC on waste)にて示された、排出抑制・削減を優先し、物質回収、熱利用が続き、再利用できないもののみを最終処分するという廃棄物ヒエラルキーの概念が、国家戦略や自治体の処理計画に謳われるのも一般的となっている。つまり、循環型社会、低炭素化社会、持続可能開発を推進することが主要アジェンダとして総論では認知されている。
一方で、適切な費用配分なく増大する都市ごみ量への対処が困難で、衛生埋立も実践されない現実にも拘らず、よりコスト高のWTE(ここでは廃棄物焼却発電の意)をPPP(官民連携)により導入することへ関心が集まるちぐはぐな状況が生じている。費用投入の足りない現状の安価なごみ処理から、民間投資の利益確保が可能となる処理手数料の程度まで、行政負担を増額することは市民・議会との合意が容易ではなく、施設建設が頓挫することは容易に理解できる。
当協議会の海外事業促進WGでは、関連技術の海外展開の方向性について議論してきた。上述のとおり、都市ごみ(一般廃棄物)を対象としたごみ処理システム(収集、中間処理等)への技術導入には、必要なコストを行政側で負担することが条件となる。これには行政による経費負担の判断と住民合意形成が必要であることから、相応の調整と時間が求められる。このため短期的には、汚染者負担原則が適用されやすく、資源循環・エネルギー効率向上が利益に直結する工業団地等の事業系の廃棄物・未回収エネルギーの活用が取組対象として有望であると議論してきた。
このように、現状認識を踏まえると、途上国の都市ごみ処理におけるイノベーション発現には難しさがある。ただ途上国ゆえに起こった変革、例えば通信分野において通信線等のインフラ整備が不要な携帯電話が普及した例のような、別の次元での変革は期待できる。衣食住が充足されていない遠隔地にて、ある日携帯電話が日常となることが実際に起こってきた。過去数年で携帯電話は、スマートフォンに更新され、データ通信やビッグデータの蓄積の容易性が増している。個人端末を介した「飛散プラスチックごみ登録」や、「ごみ集積所の取り残しや火災の通報」のアプリが既に実用化された例もある。
先進国が既往システムの構築過程において行った尽力、知見・経験を活用することにより、従来とは異なる成長パスを通ることが可能である。さらに、3R、循環型社会等の概念は既に浸透しつつある。これらの概念を踏まえ、異なる成長パスを見出し、その実現のための技術、政策、制度を産み出し、実践することがイノベーションに繋がる。また、海洋プラスチックといったグローバル課題の解決のためには、国の成長レベルに拘らず、国際的イニシアティブでの取組が併行して進められることも重要である。
「令和を拓く 資源循環イノベーション (9)」環境新聞 3月12日版に掲載されました。
2025年のマイルストーンに基づく資源循環企業の計画と実行
時間的感覚をもって具体的な取り組みを考えよう
環境新聞 3月12日版
既に2020年に入ってから2か月余りが過ぎ、来月からは新たな経営計画を実行に移す会社も少なくないだろう。その際、計画の目標年になることが多い「2025年」に、二つの観点からマイルストーンを設けて、具体的な取り組みを考えてはどうだろうか。
一つ目が、新素材や代替資源の処理・リサイクルに対応する資源循環システムの構築である。紙面の都合上、プラスチックを例にすると、政府は、昨年、使い捨てプラスチックの25%削減やプラスチックの再生利用量の倍増を2030年のマイルストーンとする「プラスチック資源循環戦略」を策定した。さらに、G20大阪サミットでは、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有された。こうしたことから、生分解性プラスチックやバリア性の高い紙袋などの開発が進んでおり、東京オリンピック・パラリンピック競技大会がそのショーケースとなるだけではなく、さらに2025年には大阪・関西万博が開催されるほか、企業や大阪市などは同年度までの目標を掲げているため、2025年は、海洋等での汚染削減や一廃・産廃での再生利用の増加が進んでいることをエビデンスとともに示す機会が控える年となる。
二つ目が、資源循環システムのデジタリゼーションである。電子マニフェストの登録件数は、2018年度に約2,900万件に達し、電子化率は57.9%となった。筆者らも関わる環境研究総合推進費課題(3-1905)において計測したところ、紙・電子マニフェストが併存する中間処理会社では、紙マニフェストのシステムへの入力・確認に1.5分/件を要していた。多段階から成る処理フローの一断面を集計しても、日本全国の作業時間は50万時間程度と推定され、年間労働時間を2,000時間とする従業員数に換算すると250人分となる。2022年度目標の70%を延長した2025年度80%という電子化率に達すれば、相当の生産性向上効果が期待できる。一方で、経済産業省のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた研究会がまとめたレポートでは、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するDXが実現できず、複雑化、老朽化、ブラックボックス化した既存システムが残存する場合には、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があるとし、これを「2025年の崖」と称して警鐘を鳴らしている。これを資源循環の分野に当てはめると、電子マニフェスト等の個々のシステムを活かしつつ、各社・各製品群の資源循環ごとにできつつある新たなデジタルサービスとの間の情報流通を円滑にすることが重要だと理解できる。
以上の二点を踏まえると、資源循環のために目指すべき一つの姿として、プラスチックやその代替素材、新素材が社会・地球環境の望む形で再資源化され、その結果が、デジタル技術等を活用して、効率的かつ正確に把握・開示できるシステムが構築された社会を考えることができる。さらに、その構築・利用経験を人材育成につなげることで、「世界において、2025年までに、廃棄物管理人材を10,000人育成」という目標を掲げる「マリーン(MARINE)・イニシアティブ」の実現にも貢献するであろう。また、資源循環に携わる企業が、そうした姿を目指して経営計画を実行することが、弊社も携わった「産業廃棄物処理業の振興方策に関する提言」や、2025年度に多くの目標を掲げる第四次循環基本計画が広く意図するものと考えている。
今夏に祭典を迎える東京の街づくりは、江戸の町割りを基にしながら海外の近代都市計画理念を臨機応変に取り入れてきたことから、「しなやか」と表現された。しかし、その「臨機応変さ」は、苦難を伴う実行過程で「場当たりでの対処」に陥ることも憂慮される。日本における資源循環が、2025年とその先の社会で「場当たりでの対処」の結果とならないよう、協議会の活動を通じてイノベーションの創出に貢献していきたい。
「令和元年度第3回ワーキンググループ」を開催致しました。
令和2年2月に東京にて令和元年度第3回ワーキンググループ
(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ45名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
令和元年度第3回ワーキンググループ 議事次第
・開会
・令和元年度提言書について
・令和2年度WG活動方針等について
・その他
・閉会
「令和を拓く 資源循環イノベーション (8)」環境新聞 2月12日版に掲載されました。
資源循環における低炭素化イノベーションの必要要素
協議会でプラットフォーム概念の明確化を検討
環境新聞 2月12日版
廃棄物処理処分における課題の変遷を振り返ると、有害物質や処理困難物との戦いであった。ダイオキシン問題や難燃剤汎用化等への対応として焼却施設は高度化され、廃棄物排出量が減少する一方で処理費用は増加してきた。また、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)含有自動車シュレッダーダスト(ASR)への対応、小型リチウムイオンバッテリー(LiB)の発火問題、有用金属の少量多品種化等の状況下において、下流インフラでの抽出・回収が困難になってきている。今後、2025年頃には車載/定置型LiBの廃棄、2035年頃には太陽光パネルの大量排出が想定されており、それらを迎え打つための万全の準備を整える必要がある。
第五次環境基本計画では、非連続的イノベーションによる温暖化防止、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環の強化等が求められており、それらを、地域活力を最大限活用する地域循環共生圏を形成することによって実現していく、という方向性が示されている。これまでの静脈インフラ構築の設計思想は、大量生産・大量消費・大量廃棄による負の側面を抱えることを“やむなし”とするものであった。受側インフラとしての“量的”な整備を優先するあまり、排出される廃棄物の“質的”な管理にまで対応が及ばず、資源循環において未知・未規制物質に起因する課題に直面し続けてきたと言えよう。しかし、静脈インフラ構築後の設計思想では、構築したインフラを最適なレベルで活用・維持するために、静脈の範囲にとどまらず、より上流の動脈側の段階にまで遡り、必要な情報を求めていくこととなる。なおかつ、少量多品種への対応が迫られる今般においては、相当の(一般にビッグデータと呼ばれるレベルの)情報量も必要となる。ただし、ここでのポイントは、上流側の段階に製品に関わる情報すべてが必要なのではなく、処理・処分側で必要としている情報が得られれば十分である、という点にある。
地球温暖化防止を目的とした非連続的なイノベーションは、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環を前提に設計する必要があり、下流側からの情報のフィードバックと、それに呼応した形での動・静脈システムの連携が無ければ、実現できない。資源利用においては、「未知・未規制物質に起因する課題に直面し続ける『対処的方法論』」から脱却し、「資源化・廃棄段階で問題となりうる時限爆弾を予め潰す『未然防止の社会システム作り』」に決意をもって取り組むことが必要となる。
ライフサイクル全体での徹底的な資源循環は最終処分量の最小化に直結する。リサイクル素材の“質”を高めるマネジメントを行って、製品から製品を作り、有用金属は徹底的に回収し、最終残渣を完全に土木資材化する。これこそが日本式の徹底的資源循環であると考える。その実現ために必要と考えられる要素を3つ挙げたい。
一つ目は『情報の研究』である。各循環資源の“質”を高めるためには、後工程で効率的にリサイクル・処理するための必要項目(キーアイテム)を設定し、関連する情報が無い場合には「補う」ことになる。ここに研究要素があり、「必要な情報を得る」ためには、未整理の情報を収集して整備するだけでなく、情報収集体制の構築から整備して創出していく“こだわり”も必要となる。二つ目は『情報の翻訳』である。原料調達、製造、流通、使用、中間処理、処分、再利用の現場それぞれで、必要な情報が異なる。そのため、用語の定義が各現場で異なっており、同じ言葉でも意味が違う、違う言葉でも同じ意味であるといったことが往々として存在する。三つ目は『情報共有ツールの整備』である。情報を活用する方法に応じて様々なIoTツールがあり、それらツールがモジュール的に統合されることでシステムが形成される。さらには、システムで使われる情報源のDBへの進化が加速される。
上記3要素の促進を通して、各所での施設間連係の円滑化に伴い、サプライチェーン全体の情報収集が容易になっていくものと考えられる。廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会(以下、「本協議会」という。)低炭素化WGでは、計画策定や政策評価のための情報活用基盤として「資源循環実態データのプラットフォーム構築」を提案し、その具体化に向けた検討を始めて今年で3年目となる。各種施設間連係実証等の事例からキーアイテムを集め、集めたキーアイテムを抽象化する作業を通して、地に足を着けた形で、プラットフォームの概念を明確にするための検討を行うこととしている。現在では、本協議会(全体)や本協議会の他のWGが掲げる方向性とも協調し、WG横断的なタスクフォースとして発展させようとする動きもある。本協議会には、サプライチェーンの各段階を担う企業の方々が動・静脈を問わずに集まっている。今後、さらに多くの団体・企業の方々に参加頂き、プラットフォーム構築について一緒に検討をさせていただければ幸いである。
「令和を拓く 資源循環イノベーション (7)」環境新聞 1月13日版に掲載されました。
我が国循環経済の展望
国際的な資源循環を構築することが不可欠
環境新聞 1月13日版
「循環経済」という単語を耳にすると、欧州が進めるサーキュラー・エコノミーを連想する人も多いかもしれない。サーキュラー・エコノミーは、可能な限り長期間製品と原材料の経済価値を維持し、廃棄物の最小化を目指す産業政策である。資源制約と価格変動からの影響を最小化し、新しいビジネス機会とイノベーションを創出することで、欧州の産業を活性化することができると謳っている。その背景には、世界的な資源需要と廃棄物量の増加、中国をはじめとする廃棄物輸入規制に端を発した国際的な資源循環枠組みの変化、海洋プラスチックごみ問題等の地球規模での新たな環境課題の顕在化がある。欧州は、規制的手法も駆使しつつサーキュラー・エコノミー政策を進めている。2019年12月に発足した欧州委員会新体制の下、12月12日には「欧州グリーン・ディール」が公表され、この動きは加速するものと見ている。
翻って我が国であるが、日本は1999年に「循環経済ビジョン」を打ち出し、循環経済に向けて世界に先駆けて取組を進めている。環境と経済の統合が達成された循環型経済システムを目指すこのビジョンでは、排出量、含有資源の有用性、処理困難性の高い優先的に取組を進める分野を特定するとともに、1R(Recycle)から3R(Reduce, Reuse, Recycle)への移行、事業者、消費者、国・自治体の各関係主体の役割の明確化からなる取組の基本的考え方を示している。このビジョンを受けて各種関連法律の改正・制定が行われた結果、我が国は、廃棄物の最終処分量の大幅削減、リサイクル率の向上等の成果を上げてきた。一方で、我が国の資源循環を巡る取組は新たな局面を迎えてもいる。上記のような成果を上げてきたものの、投入された資源がどれだけ循環利用されたかを示す入口の循環利用率は近年伸び悩んでおり、取組の強化が求められている。
このような状況に対応するため、経済産業省では、我が国産業の強み等を踏まえた循環経済の将来像とそこに至る方策について議論を進めてきた。その中では、消費者や投資家からの環境配慮要請とESG投資の高まりやデジタル技術の急速な発展等をドライバーとして、先導的なグローバル企業を中心に、付加価値の向上を目指し、進んで循環経済の取組を講じていることが明らかになった。例えば、リサイクルや再生材使用の取組を進めることで、事業者は消費者からの評価やESG投資の呼び込みというメリットを得ることができる。こうした取組は、結果として資源効率を向上させ、循環経済への移行に貢献する。
また、進化したデジタル技術が支える新しいビジネスモデルの出現も、循環経済への転換を後押ししている。最近拡大しているシェアリングやリースは、消費者が利便性向上というメリットを得るだけでなく、結果として資産の稼働率を向上させるなど環境負荷の低減につながる場合も多い。
このような循環経済への移行を一層促進するためには、製品やサービスのビジネスモデルを設計することができる事業者が、消費者の需要を把握した上で、製品のライフサイクル全体を考慮した最適な設計を行い、静脈との連携を高度化することが鍵となる。静脈側は、IoT等のデジタル技術を活用し、物流や選別、再資源化の効率化・高度化に向けて、一層取組を進めていくことが重要である。もちろん、消費者も引き続き、分別回収への協力、環境への負荷の少ない製品の購入等、求められる役割を忘れてはならない。
その上で、企業活動のグローバル化が進展し、我が国製造業の海外生産比率が上昇する中、国内だけではなく国際的な資源循環を構築することが不可欠である。責任ある動脈企業が主導する我が国の循環システムが、国際的にも適切に評価されるよう、政府も国際標準の議論に積極的に貢献していく。2020年6月には、サーキュラー・エコノミーのマネジメント規格を作成するISO委員会が我が国で開催される。我が国の強みをいかした提案につなげていけるよう、官民連携でしっかりと取り組んでいきたい。
「令和元年度総会」を開催致しました。
令和元年12月に東京にて令和元年度総会を開催致しました。
50名以上の皆様にご参加を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
令和元年度総会 議事次第
・開会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 藤井実会長
・来賓挨拶
環境省/経済産業省
・特別講演
「廃棄物処理・リサイクルの未来 〜循環経済の夜明け〜」
中部大学経営情報学部 細田 衛士様
・各ワーキンググループの今後の活動方針
①低炭素化ワーキンググループ
②ロジスティクス高度化ワーキンググループ
③新規事業創出ワーキンググループ
④海外事業促進ワーキンググループ
・会員機関による先行事例発表
「大栄環境グループにおけるAI・IoTなどデジタル 技術の活用推進の取組みについて」
大栄環境株式会社 壺内良太様
・閉会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 小野田弘士副会長
「令和を拓く 資源循環イノベーション (6)」環境新聞 12月11日版に掲載されました。
インフラのアセットマネジメントに見るICT導入の動き
他のインフラにヒントを求めることも有用
環境新聞 12月11日版
他分野の技術にヒントを求めるのは、イノベーションの常套手段である。最近、廃棄物処理以外のインフラにおける、機械設備の運転管理、保守点検、さらには設備保全へのICT活用の事例を見学した。
1件目は、岐阜県恵那市の下水処理施設である恵那浄化センターである。設備・機器の様々な点検結果等の維持管理データを、現場でタブレット型端末(またはスマホ)とクラウドを活用して一元的に収集・整理、蓄積することのできるシステムを導入している。情報共有だけでなく、現場の技術継承、機器の健全度診断と長期的な劣化予測を行うことによる設備投資の最適化も可能ということである。
2009年度より包括的民間委託(レベル3)を実施しており、その中で受託業者によりこのシステムが導入されたが、2018年度より国交省の実証事業で市内6カ所の浄化センターのデータを一元管理するようになった。補修費まで含んだ包括的民間委託の場合は、サービスを維持しつつ、期間内の維持管理コストを下げることが受託業者側のインセンティブになるため、この手法は有効となる。故障予測や予防保全のためには、より精緻な診断方法も必要となると感じた。複数施設の広域管理の場合、管理主体(委託先)が異なる場合のデータ共有方法も課題となる。
2件目は、吉野川水系のダムを管理している水資源機構の池田総合管理所である。タブレット型端末とWebアプリを用いたダム機械設備管理支援システムを独自に構築している。帳票の作成・管理をタブレット型端末で行っている他、一般的な通話アプリを用いて機器の障害発生時に動画による情報共有を行っている。これにより、情報共有の迅速化、作業効率化を達成できている。地理的に離れた4つのダムを少ない人員で管理しているため、以前は遠隔地の機器に障害が発生した場合の迅速対応に困難があったが、その解消に役立っているようである。このシステムの特徴は、市販のタブレット型端末とWebアプリを活用し、インターネットVPN回線による通信を行うなど、独自仕様のシステム開発を行うことなくこのシステムを構築している点にある。水資源機構は、別途機械設備保全支援システムを保有しており、点検や機器の診断に基づき整備、更新の優先度を決定しているようであるが、そちらのシステムとの効果的連携については発展の余地があると思われる。
ここで、これらの事例と廃棄物処理インフラを比較してみたい。下水処理事業の包括的民間委託、一般廃棄物処理事業の長期責任委託、いずれも①性能発注、②複数年、③維持管理・補修まで含む契約とすることは可能である。仕様発注による運転委託は、もともとどちらの分野も進んでいる。下水道については、建設から維持管理へインフラの課題が大きく移行しており、維持管理・補修まで含めたより包括的な委託の必要性が高まっている。恵那市の事例では、市町村合併により市が管理する水処理施設が6カ所に増え、かつ広域となったため、クラウド活用によるデータ管理が効果的な管理運営につながったということである。廃棄物処理分野でも、複数のごみ焼却施設の共同運用の動きがある。今後は、市町村をまたがる共同運用・共同管理が拡大することが予想され、クラウド等を活用した機器管理システムは、その効率化・省力化に寄与すると考えられる。
維持管理コストの増大に伴うアセットマネジメント適正化については、どのインフラも同様に抱えている課題である。公営企業である下水道には独立採算制の原則が適用されており、その点は廃棄物処理インフラと一見状況が異なる。実際は、一般会計からの繰入金も多く、アセットマネジメントへの財政的圧力に対して、制度の相違が与える影響は大きくないかもしれない。
一方、産業廃棄物は民間事業である。経済合理性の高いシステムが求められるのは言うまでもない。その面から、池田総管の事例は参考になる。また、マニフェスト制度は言うに及ばず、廃棄物の適正処理・処分を監視することに対するニーズは高く、トレーサビリティの自動化やマニフェスト書類の自動作成といった産業廃棄物や一部の事業系一般廃棄物に特有の進化が見られる分野もある。
なお本稿では紙幅を割けなかったが、下水道の中でも特に負担の大きい管路の維持管理において、AIを用いたビッグデータ解析の実証事業も行われている。廃棄物処理分野でも、中間処理施設の維持管理において、ビッグデータを収集・解析を進めることで効果的・効率的な補修、更新が可能になることが想定され、我々も環境総合研究推進費課題(3-1905)として取り組んでいるところである。
「令和元年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
令和元年11月に東京にて令和元年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナーを開催致しました。
30名以上の皆様にご参加を賜りまして、心より御礼申し上げます。
令和元年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー
・開会
・セミナー1
『循環型社会実現に向けたビジネスへの挑戦』
講師: 正木 弾 様
(小田急電鉄株式会社 経営戦略部 課長)
・セミナー2
『AIごみクレーンの開発』
講師: 柴田 一栄 様
(三機工業株式会社 R&Dセンター環境システム開発部環境システム2課長)
・閉会
「令和を拓く 資源循環イノベーション (5)」環境新聞 11月13日版に掲載されました。
新技術に対応した政策イノベーションのススメ
19年は資源循環政策の新たな転換期の始まり
環境新聞 11月13日版
新しい時代となった今から振り返ると平成の中頃と位置付けられる2000年前後に我が国の資源循環政策は大きな転換期を迎えていた。いわゆる循環基本法や各種リサイクル法があいついで整備され、現在の廃棄物・リサイクル政策の原型が形作られた時期である。その後も精力的な見直しが繰り返され、同時に各種業界団体の協力もあり、平成の終わりにかけて確実かつ安定的に法制度が目指す方向に進んでいた。
しかしながら、まるで令和の時代を迎えるのを待っていたかのように、昨年から今年にかけて資源循環政策をとりまく環境は大きく変化した。その一つは国際情勢で、昨年本格化した中国の輸入禁止措置やEUによるサーキュラーエコノミーの推進は我が国の今後の資源循環政策に大きく影響する。また、もう一つの変化として気候変動による災害の増加があげられる。台風による河川氾濫等の水害リスクは今後も毎年注視しなければならない。災害ゴミへの対応は制度化が進んでいるが毎年のように頻発する問題としては捉えていないであろう。2019年は資源循環政策の新たな転換期の始まりと呼べるかもしれない。
経済学を専門とするものとして、新しい時代に向けて、技術ではなく政策形成のイノベーションとして二つの期待を述べたい。一つは「エビデンスに基づく政策立案:EBPM」の更なる推進である。ここでエビデンスとは単に観測データを取るということを意味しているわけではないことに注意してほしい。人間が行う経済活動に政策が「介入」した際の効果をデータで測ることは意外に難しいのである。例えば、健康診断の受診者の方が未受診者よりも健康であるという観測データが得られたとすれば、「健康診断を受けるとより健康になる」と考えるのではなく、「普段から健康に関心が高い健康的な生活を送っている人の受診率が高い」という実態が明らかになったとみるべきであろう(大学共済の受診率は低いそうである)。そのため単純に健康診断の受診の有無と健康状況を比較することは、健康診断という政策介入の効果を測ることにつながらない。
(自然現象と異なり)人間が自らの意思で選択を行うことが、結果として政策効果の分析を困難にしているが、経済学をはじめとする社会科学の研究蓄積でこの問題に対処する様々な方法論が開発されている。これらを活用して介入効果をより正確に測ることであらたな政策立案に生かしていこうというのがEBPMである。EBPMの動きは日本を含めて世界で活発になっている。今後、マンパワーも予算も減少していく日本において、より効果の期待できる政策を見極めることは重要である。
二つ目は、規制や課税といった従来的な政策手段以外のツールの活用である。もちろん、規制や課税といった手段が重要でないと言っているわけではなく、それらを補う手段を意味している。その一つが「ナッジ」と呼ばれているものである。もともとは「肘でつつく」という意味であるが、規制で選択を禁止したり、課税でインセンティブ行動を変えたりすることなく、わずかな工夫で人々の行動を変えることをいう。例えば、英国のNGOがサッカー場で灰皿の代わりに、透明なボックスを用意して「どちらのチームが勝つと思うか?」と書き、吸殻を捨てられるように両チームの名前の下に小さな穴を開けた。これにより贔屓のチームが勝つという「声援」を送りたいサポーターがポイ捨てをやめて、この透明な吸殻入れにタバコを自発的に入れるようになったという例がある。類似の取り組みは食品ロスや事業系一般廃棄物の削減につながるような分別行動にすぐに応用できるであろう。
情報技術をはじめとしてテクノロジーのイノベーションは資源循環分野でも急速に進んでいる。新しい令和の時代は、新技術を最大限に活かせるように政策分野のイノベーションもぜひ進めてほしい。
「第12回川崎国際環境技術展」へ出展致しました。
令和元年11月13日(木)~11月14日(金)にカルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)で開催された第12回川崎国際環境技術展へ出展致しました。
協議会のブースには、2日間で延べ140名以上の方々にご来場頂きました。
会員の皆様におかれましても、遠方からご来場を賜りまして、誠にありがとうございました。
来場頂いた多くの方から大変貴重なご意見を伺うことができました。
「令和元年度第2回ワーキンググループ」を開催致しました。
令和元年10月に東京にて令和元年度第2回ワーキンググループ
(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ60名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
令和元年度第2回ワーキンググループ 議事次第
・冒頭趣旨説明
・ディスカッション
・その他
「令和を拓く 資源循環イノベーション (4)」環境新聞 10月9日版に掲載されました。
イノベーション創出に求められるアプローチ
体力勝負の大規模投資よりも知恵と発送の勝負
環境新聞 10月9日版
イノベーションにはその言霊として技術的な進化を内在すべきとの印象があるが、必ずしもその本来的なニュアンスには含まれない。リサイクルビジネスにとって、一見してハードルが高過ぎる課題にも見えるが、その本質を見極めれば中小零細企業主体の業界関係者にとっても人ごとではないことがわかる。
まず、ピータードラッカー氏は、ビジネスに求められる機能はマーケティングとイノベーションの2つのみであると説いた。当方なりの解釈では、前者は顧客が現在(顕在的に)本当に求めている製品やサービスを提供することを意味しており、目先の売上を立てながら利益を確保するための守りの機能を指している。一方、後者は顧客にとって潜在的に価値ある製品やサービスに転換する新しいアイディアや発明を指しており、目先の食い扶持を稼ぐだけでなく新しいアイディアや切り口で、次のマーケットを見つけることによる企業としての永続を求めているのだ。
ヨーゼス・アロイス・シュンペーター氏は、イノベーションを「商品・サービス」「生産方法」「生産方法」「供給源」「組織」という5つの分類で整理した。通信機能を持つ手の平サイズのコンピュータとして当時の技術の粋を集めて開発されたスマートフォンは「商品・サービス」としてのイノベーションの事例としてわかりやすいが、それだけが革新ではない。例えばコンビニエンスストアにセルフ充填のコーヒーメーカーを設置して、その脇でドーナッツを販売することで相乗的に売上高を拡大することはイノベーションの典型的な事例である。更には、集客が昼時に集中するため回転率で勝負してきた牛丼チェーンが、夕刻以降の稼働率を高めるためにビールを提供するマーケティングにシフトすることも同様である。
また、ロベルト・ベルガンティ氏は、イノベーションの種類を「技術的な革新」と「意味的な革新」という軸で区分している。例えば掃除機を事例に両者を比較すると、前者の代表例は英国ダイソン社が提供する「吸引力が落ちない」商品である。ダイソン社の掃除機は先行他社製品と同じ土俵での競争に挑み、技術的な革新によってごみや埃を確実に吸い込むという機能面での優位性を確立した。一方、後者の代表例は米国のアイロボット社が開発した自動掃除機である。同社製品は、「家事からの解放」という従来型製品とは全く異なる意味的な革新を武器に、成熟した市場に参入して一定のシェアを確保するに至っている。家族の誰かが掃除にかける時間をロボットに任せる、という新たな価値を提供したからである。
実はアイロボット社の製品は、他社が真似できない程の高度な技術的革新を伴っている訳ではない。従来型掃除機を供給する大手メーカーでも、同じコンセプトで同じタイプの商品を提供することが出来た、と言われている。それでも他社が先行して上市できなかった理由は「カンニバリズム」(共食い)を避ける必要があったためである。掃除機市場で十分なシェアを確保しているメーカーにとって、新商品の売上拡大が既存製品の売上縮小に直結するなら商業的なメリットはなくなる。クレイトン・クリステンセン氏が説いたイノベーターのジレンマの肝は正にこの点にあり、ベンチャーを含む中小零細企業が大企業に挑む上で優位性をもち得るのはこうしたマーケットでこそなのだ。
以上の議論は新規ビジネス検討におけるイロハのイであり、廃棄物処理・リサイクル分野でもビジネスチャンスの発掘に向けた着想の入り口となる。特にIoTやAI等を活用した情報化をテーマに据えたイノベーションにおいては、体力勝負の大規模投資よりも知恵と発想の勝負となることは自明とさえ言える。リサイクルビジネスも、今後のイノベーションの重要性と可能性を真正面から捉えて、その実現に挑戦する企業が拡大していくことで、中長期的な業界の活性化と変革を期待することが出来るのである。
「エコテクノ2019」へ出展致しました。
令和元年10月9日(水)~10月11日(金)に西日本総合展示場 新館で開催されたエコテクノ2019へ出展致しました。
協議会のブースには、3日間で延べ120名以上の方々にご来場頂きました。
会員の皆様におかれましても、遠方からご来場を賜りまして、誠にありがとうございました。
来場頂いた多くの方から大変貴重なご意見を伺うことができました。
「令和を拓く 資源循環イノベーション (3)」環境新聞 9月11日版に掲載されました。
3R・資源効率を変革する情報通信技術
さまざな可能性やビジネスチャンスが秘められる
環境新聞 9月11日版
日本では3Rの推進を中核とした循環型社会の構築が進められているが、リデュース、リユースに関する取組の強化や、リサイクルに関する取組の高度化が課題となっている。これに関して欧州では、「資源効率の高いEU」を成長戦略の一つに掲げ、これを実現する政策として循環経済の構築が進められている。また、こうした取組の国際的展開として、G7において「3Rイニシアティブ」や「資源効率性に係るG7アライアンス」等の活動が行われている。
3Rの推進は資源効率を高める手段という位置づけになるが、資源効率の向上は単に廃棄物になるものを減らして(リデュースやリユース)、廃棄物になったものを再資源化する(リサイクル)というだけではない。ほとんど使われていない会議室や一日に一時間しか乗らない自動車などの無駄を減らすことも含まれ、こうした無駄を活用するのが近年注目を浴びているシェアリング等の概念である。これは「もったいない」精神そのものなのだが、日本の循環型社会づくりにはあまりない視点である。また、「資源効率の高いEU」が成長戦略の一つとなっているように、欧州の循環経済づくりは国際競争力の強化や新産業の創出を志向している。日本の循環型社会づくりにおいてもこうした視点を強化していく必要がある。
さて、3R推進や資源効率向上のアプローチには表に示すような様々なものがあるが、ここで重要な役割を果たすのが情報通信技術である。例えば、「②無駄になるモノを減らす」の典型は無駄な食材の購入を避けることであるが、冷蔵庫の食材をバーコードで読み取ってスマートフォンに登録し、期限が近づくと通知してくれるアプリや、冷蔵庫内の映像を撮影しスマートフォンに送信してくれる冷蔵庫等がすでに提供されるようになっている。「③モノの稼働率を上げる」シェアリングやレンタル・リースでも情報通信技術は不可欠である。建物や部屋については「民泊」のほか「シェアハウス」や「シェアオフィス」等があるが、予約・支払等はインターネット上で行われ、インターネットに接続した電子錠を用いてスマートフォン等で施解錠を行う技術等が実際に利用されている。「④モノを長く活用する」ためには、製品の劣化状況を的確に把握し故障を事前に検知することが有効であるが、これについては、インターネットに接続した製品から多くの情報を収集し、それを解析することで故障の予兆管理を行うこと等が行われるようになっている。また、「⑥容器包装を減らす」ために、リターナブル梱包資材にRFIDタグを取り付けて、リユースの回数や在庫数を管理すること等が行われている。「⑧リサイクル材を使う」については、その質を向上させることが課題となっているが、質の高いリサイクルを行うためには、再生材料の情報をトレースできるようにしておくことが重要である。製品の構成素材情報を登録したRFIDタグを製品に内蔵し、製品の製造工場と処理工場を隣接させて、円滑な再生材料の提供を実現した事例などがある。
情報通信技術を活用したこれらの取組は一例でしかない。3R・資源効率向上を促す情報通信技術には様々な可能性と新たなビジネスチャンスが秘められており、他分野での活用法が資源循環イノベーションにおいても大きなヒントになる。
「令和を拓く 資源循環イノベーション (2)」環境新聞 8月7日版に掲載されました。
オープンイノベーションをいかに実現するか?
「負の側面」に対応するのも資源循環分野の役割
環境新聞 8月7日版
「廃棄物・リサイクルIoT導入促進協議会」が発足してから、約3年が経過しようとしている。この間、AI・Io Tに関する関心が高まり、具体的なアウトプットが求められるフェーズに入りつつある。本稿では、筆者自身の経験則から日々感じていることを「オープンイノベーションをいかに実現するか?」という視点で述べていきたい。
まず、環境省・経済産業省等の支援もあり、廃棄物・リサイクル分野におけるAI・IoTの導入事例(FSや実証事業を含む)は増えてきているのは喜ばしいことである。今後もさまざまな事例が出てくるだろうし、筆者らの研究グループでもその一端を発信できる見込みとなりつつある。こうした「積み重ね」の成果を成功・失敗も含めて蓄積し、ボトムアップで社会実装を図っていくことは当然、進めていくべきアプローチである。一方で、社会に受容される仕組みを作り上げていくためには、もう少し大局的な視点でのアプローチも必要となろう。
理想的には、協議会でも提言している情報共有のプラットフォームが挙げられる。官民が連携し、プラットフォームを通じた新しいビジネスモデルが次々と生まれるような環境の創出は時間をかけてでも実現したいところである。しかし、残念ながら、一足飛びにそこに到達するにはさまざまなハードルがある。そこで、もう少し現実的な地に足のついた取り組みを考えてみたい。
例えば、廃棄物処理を含む資源循環分野におけるAI・IoTに関する作業標準・技術標準の構築に向けた取り組みはできないであろうか。筆者もさまざまなアプローチでAI・IoT のソリューションの導入可能性を探っているが、画像診断や一部のセンサ等技術・経済的にある程度成熟しているものや賢く応用すれば、極めて有効に使えるもの、まだまだ開発の余地があるロボット技術、社会受容性の面で課題がある自動運転技術など状況が大きく異なる。これらを資源循環分野で想定されるシーンに応じて、導入可能性があるものを具体例とともに体系化するだけでも意味がある。こうした議論の際、技術成熟度評価と呼ばれるTRA (Technology Readiness Assessment) の考え方が参考となる。
TRAとは、アメリカ連邦航空宇宙局(NAS A)によって 1980 年代に考案された開発中の技術の成熟度や開発の進捗状況を客観的に評価する手法で、現存する技術・システムをプロファイリングする仕組みといえる。我が国では、環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」で試行的に導入されているが、資源循環分野におけるAI・I oT関連技術にも導入できると考えている。あるいは、そこまで掘り下げなくても「自動運転」と「無人運転」の違いは何か?などの考え方を整理していくような活動やヒトとAIの共存する方法論を検討していくことも必要と考える。全てをA Iに任せることを前提とするのではなく、熟練者がAIを教育するような仕組みも資源循環分野では有効であると考える。
最後にAI・IoTを議論する際の留意点を2 点述べておきたい。まず、ビッグデータとプラットフォームを切り分けて議論することである。すでに何らかの形でデータが蓄積されている情報・データを有効活用することとセンサ情報等を活用して、今後、ビッグデータを収集・蓄積し、より高度化な次元での情報活用を図る取り組みを切り分ける必要がある。もうひとつは、AI・IoT 導入に関する負の側面を資源循環分野の視点から認識することである。これは、小型電気・電子機器の急増による二次電池が「現場」における事故の要因になっていることや「宅配需要」の増加により、ごみの排出行動等に変化があることなどが挙げられる。太陽光パネルや自動車用バッテリーのリサイクルの議論、さらには、急激に社会問題化しているプラスチックの問題等「負の側面」にどのように対応していくかも資源循環分野の重要な「役割」である。
「令和元年度第1回ワーキンググループ」を開催致しました。
令和元年8月に東京にて令和元年度第1回ワーキンググループ
(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ50名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
令和元年度第1回ワーキンググループ 議事次第
・開会
・開会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 会長 藤井実
・講演1
『循環経済ビジョンの展望』
経済産業省
産業技術環境局資源循経済課 仲田積実様
・講演2
『裏イノベーションの勧め』
ナカシマプロペラ株式会社
イノベーション室 久保博尚様
・グループディスカッション
・閉会
「令和を拓く 資源循環イノベーション (1)」環境新聞 7月10日版に掲載されました。
廃棄物エネルギー利用のイノベーション
無駄を洗い出し、ポテンシャルを把握することが重要
環境新聞 7月10日版
筆者は、再生利用が困難な廃棄物の焼却熱を、産業で高効率に利用することを検討している。焼却発電も高効率化してきたが、焼却炉で製造した蒸気を近隣の工場で利用できれば、発電と比べて2倍近い化石燃料消費削減効果を期待できる。
ライフサイエンスの分野は筆者の専門外であるが、恐らく思いもよらない原理が今後明らかになり、それが革新的な医療等に応用されることが期待できると考える。しかし、筆者の研究対象に関わるエネルギーについては、それを支配する熱力学の原理がすでに解明されている。決して超えられない物理的制約が存在するため、想像もできないほどのエネルギー効率の向上をもたらす、革新的な技術開発は期待できない。では、イノベーションの余地がないかというと、そうではない。
省エネが進む現代においても、エネルギーの無駄は依然として大きい。例えば電気ストーブで暖をとることは、エネルギーの質の観点からは大きな無駄がある。電気は、理想的にはその100%を仕事(モーターを動かす、明かりを照らすなど)に変換できる、高品質なエネルギーであるが、部屋を暖かくするために用いた場合、その質的価値のわずか2%ほどが有効利用され、ほとんどは浪費されている。電気のエネルギーは総て熱に変換されているのだが、感覚として捉え辛いエネルギーの質的な損失が、元には戻らない不可逆過程として生じている。エアコンで暖房すれば、この損失は大きく軽減される。熱力学を少し学んだ人には共通の認識だが、一般の人には必ずしも認識されていないのではないか。工場の加熱プロセスでも、無駄を改善する余地は大きい。
地球に降り注ぐ太陽光でも、大規模な質的損失が起きている。光も、電気に準ずる質の高いエネルギーであり、ゆえに発電効率が50%にせまる太陽電池も開発され、理論的にはさらに向上し得る。地表に降り注ぐ太陽光には、全人類が消費する5千倍程度のエネルギーが含まれるとされるが、一部は水や大気の循環、光合成などに利用されるが、コンクリートやアスファルト、砂漠化した土地に降り注ぐ太陽光は、ほとんど仕事をすることなく表面を漫然と温めている。もちろん、地球を温暖に保つことは生態系の維持に不可欠な重要な機能であるが、現在は温まり過ぎが問題になってもいる。総ての形態のエネルギーはいずれ熱になるが、熱になる前にいったん仕事をさせる余地がある。太陽光発電や風力発電が普及しつつあり、また植林なども行われているが、有効利用されていない太陽光はまだまだ膨大で、その無駄もあまり意識されていないのではないか。
再生利用が困難な廃棄物のエネルギー利用のイノベーションには、必ずしも新しい高度な技術は必要ない。まず、社会におけるエネルギー利用の無駄を洗い出し、ポテンシャルを把握することが重要である。技術的な制約で化石燃料が質的に無駄に利用されているプロセスほど、廃棄物のエネルギーでそれを代替する効果は、環境面でも経済面でも大きいはずである。また、長く競争力を維持できる利用方法を正しく選択するためには、将来の再生可能エネルギーとの競合を意識する必要もある。廃棄物を活用する上では、エネルギーの無駄だけではなく、廃棄物の収集や管理の面でも、それを効率化することが重要である。意外なところに無駄が潜んでいる可能性もあり、関係者で情報共有することも有用だろう。
筆者が会長を務める廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会では、最新の情報通信技術の利用を念頭に、無駄をなくし、さらに新たな付加価値をもたらす解決策について、産官学の会員で議論と実践を重ねている。本紙面にて、協議会の各運営委員や会員機関から、イノベーション促進に向けた課題や具体的なビジネスモデル等に係る検討内容を紹介させていただく予定である。
「令和元年度IoT先端施設等への視察会」を開催致しました。
令和元年7月に埼玉県深谷市にある、株式会社シタラ興産 サンライズFUKAYA工場へ視察に伺いました。
大変貴重な機会を提供して頂きました株式会社シタラ興産には、心より御礼申し上げます。
令和元年度IoT先端施設等への視察会 視察内容
・工場のご紹介
・現場見学
・質疑応答
※掲載写真は、株式会社シタラ興産様よりご提供いただきました。
「令和元年度第1回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
令和元年6月に東京にて令和元年度第1回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナーを開催致しました。
40名以上の皆様にご参加を賜りまして、心より御礼申し上げます。
令和元年度第1回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー
・開会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 会長 藤井実
(国立研究開発法人国立環境研究所 社会環境システム研究センター 環境社会イノベーション研究室 室長)
・セミナー1:『サーキュラーエコノミーにおける金属リサイクル技術の動向』
講師:大和田秀二 様
(早稲田大学 教授)
・セミナー2:『Circular Economyが拓く日本の未来』
講師:張田真 様
(ハリタ金属株式会社 代表取締役)
・閉会
「平成30年度第3回ワーキンググループ」を開催致しました。
平成31年2月に東京にて平成30年度第3回ワーキンググループ
(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ60名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
平成30年度第3回ワーキンググループ 議事次第
・開会
・平成31年度WG活動方針等について
・平成30年度提言書について
・その他
・閉会
「第11回川崎国際環境技術展」へ出展致しました。
平成31年2月1日(木)~2月2日(金)にカルッツかわさきで開催された第11回川崎国際環境技術展へ出展致しました。
協議会のブースには、2日間で延べ160名以上の方々にご来場頂きました。
会員の皆様におかれましても、遠方からご来場を賜りまして、誠にありがとうございました。
来場頂いた多くの方から大変貴重なご意見を伺うことができました。
「平成30年度総会」を開催致しました。
平成30年12月に東京にて平成30年度総会を開催致しました。
60名以上の皆様にご参加を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
平成30年度総会 議事次第
・開会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 藤井実会長
・来賓挨拶
環境省/経済産業省
・特別講演1
「プラスチックリサイクルにおけるIoTの役割」
国立研究開発法人産業技術総合研究所 加茂徹様
・特別講演2
「スタートアップとのオープンイノベーションのあり方」
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 田中晴基様
・各ワーキンググループの今後の活動方針
①低炭素化ワーキンググループ
②ロジスティクス高度化ワーキンググループ
③新規事業創出ワーキンググループ
④海外事業促進ワーキンググループ
・会員機関による先行事例発表(リレートーク)
①「平成30年度 廃棄物収集運搬・処理業務最適化プラットフォーム実用化可能性 調査について」
川崎市 鈴木勇二様
②「IoTを使った廃棄物の収集運搬等におけるデータ共有・マッチング調査について」
北九州市 河本純子様
③「今後の高齢社会に対応した産業廃棄物処理業に関する調査・研究」
富山大学 山本雅資様
・閉会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 小野田弘士副会長
「平成30年度第2回ワーキンググループ」を開催致しました。
平成30年11月に東京にて平成30年度第2回ワーキンググループ
(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ60名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
平成30年度第2回ワーキンググループ 議事次第
・開会
・特別講演:『建設現場におけるスマートウェアを用いた安心・安全及び生産性向上IoTシステムの開発』
講師:児玉耕太 様
(立命館大学 テクノロジーマネジメント研究科 准教授)
・質疑応答
・ワーキンググループディスカッション
・閉会
「平成30年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
平成30年10月に東京にて平成30年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナーを開催致しました。
40名以上の皆様にご参加を賜りまして、心より御礼申し上げます。
平成30年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー 議事次第
・開会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 会長 藤井実
(国立研究開発法人国立環境研究所 社会環境システム研究センター 環境社会イノベーション研究室 室長)
・セミナー1:『規制の「サンドボックス」制度について』
講師:黒籔誠 様
(経済産業省 経済産業政策局 新規事業創造推進室 総括補佐)
・セミナー2:『物流におけるロボット知能化・活用と廃棄分野への応用』
講師:武本祐樹 様
(Kyoto Robotics 株式会社 営業部 東京本社)
・閉会
「エコテクノ2018」へ出展致しました。
平成30年10月10日(水)~10月12日(金)に西日本総合展示場で開催されたエコテクノ2018へ出展致しました。
協議会のブースには、3日間で延べ160名以上の方々にご来場頂きました。
会員の皆様におかれましても、遠方からご来場を賜りまして、誠にありがとうございました。
来場頂いた多くの方から大変貴重なご意見を伺うことができました。
「平成30年度第1回ワーキンググループ」を開催致しました。
平成30年8月に東京にて平成30年度第1回ワーキンググループ
(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ80名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
平成30年度第1回ワーキンググループ 議事次第
・開会
・開会挨拶/話題提供
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 会長 藤井実
・講演1
『電子マニフェスト情報の利活用について』
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター
電子マニフェストセンター 情報サービス部 企画室長 鶴島亨
・講演2
『本格化するIoT実装と成長し続けるAI活用で共創する未来』
アマゾンウェブサービスジャパン株式会社
ストラテジック アカウントマネージャー 門田進一郎
・グループディスカッション
・閉会
「平成30年度IoT先端施設等への視察会」を開催致しました。
平成30年6月に三重県四日市市にある、東芝メモリ株式会社 四日市工場へ視察に伺いました。
大変貴重な機会を提供して頂きました東芝メモリ株式会社様には、心より御礼申し上げます。
平成30年度IoT先端施設等への視察会 視察内容
・工場のご紹介
・現場見学
・装置管理のご紹介
・質疑応答
今回、施設内の撮影は禁じられておりましたので、
写真はございません。
「平成30年度第1回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
平成30年5月に東京にて廃棄物資源循環学会との共催で
平成30年度第1回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナーを開催致しました。
90名以上の皆様にご参加を賜りまして、心より御礼申し上げます。
平成30年度第1回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー 議事次第
・開会挨拶/話題提供
藤井実(国立研究開発法人国立環境研究所)
・『リサイクルビジネスの生産性革命について』
松岡浩史(一般社団法人資源循環ネットワーク)
・『IoT向けLPWAネットワーク技術とNTT西日本グループの取組について』
梅村和弘(西日本電信電話株式会社)
・『IoTを支えるエッジコンピューティング』
村方正美(エッジプラットフォームコンソーシアム)
・『IoT・AI分野の新技術・製品最前線』
菊池雄介(株式会社リンクス)
・パネルディスカッション
コーディネーター:松本亨(北九州市立大学)
パネラー:山本雅資(富山大学)及び講演者
・閉会挨拶
松岡浩史(一般社団法人資源循環ネットワーク)
「平成29年度第3回ワーキンググループ」を開催致しました。
平成30年2月に東京にて平成29年度第3回ワーキンググループ
(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ90名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
平成29年度第3回ワーキンググループ 議事次第
・開会
・平成29年度提言書について
・平成30年度WG活動方針等について
・その他
・閉会
「平成29年度総会」を開催致しました。
平成29年12月に東京にて平成29年度総会を開催致しました。
70名以上の皆様にご参加を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
平成29年度総会 議事次第
・開会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 藤井実会長
・来賓挨拶
環境省/経済産業省
・特別講演
「地域IoTの実装推進に向けて」
総務省 地域通信振興課 推進係長 磯和滉士様
・各ワーキンググループの今後の活動方針
①低炭素化ワーキンググループ
②ロジスティクス高度化ワーキンググループ
③新規事業創出ワーキンググループ
④海外事業促進ワーキンググループ
・会員機関による先行事例発表(リレートーク)
①京都府の取り組み
②株式会社インテックの取り組み
③大東商事株式会社の取り組み
・閉会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 小野田弘士副会長
「平成29年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
平成29年11月に東京にて平成29年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナーを開催致しました。
40名以上の皆様にご参加を賜りまして、心より御礼申し上げます。
平成29年度第2回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー 議事次第
・開会ご挨拶 廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 会長 藤井実
(国立研究開発法人国立環境研究所 社会環境システム研究センター 環境社会イノベーション研究室 室長)
・セミナー1
『サーキュラーエコミーによるビジネストレンド
~IoTがもたらすサーキュラーイノベーションの動向~』
講師:喜多川和典様(公益財団法人日本生産性本部 エコ・マネジメント・センター長)
・セミナー2
『都市インフラを支える静脈物流に必要なAI,IoTとは』
講師:白井徹様・馬場研二様(白井グループ株式会社 代表取締役社長・顧問)
「平成29年度第2回ワーキンググループ」を開催致しました。
平成29年10月に東京にて廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 平成29年度第2回ワーキンググループ
(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ70名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
平成 29 年度第2回ワーキンググループ 議事次第
・開会
・開会挨拶
・平成30年度環境研究総合推進費への申請について
・平成30年度政府IoT関連予算事業(概算要求時)等のご紹介
・その他
・閉会
「平成29年度第1回ワーキンググループ」を開催致しました。
平成29年7月に東京にて廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 平成29年度第1回ワーキンググループ
(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ90名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
平成 29 年度第1回ワーキンググループ 議事次第
・開会
・開会挨拶
廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 会長 藤井実
・基調講演
「IoT推進コンソーシアム活動内容」
株式会社三菱総合研究所 社会ICT事業本部 ICT・メディア戦略グループ主席研究員 谷田部智之
・講演
「Waste Separation with Robots AI、IoT、機械化導入促進へ向かって」
株式会社シタラ興産 代表取締役 設楽竜也
・講演
「我が国の循環型社会形成に向けた政策並びにIoT導入に向けた期待」
環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物規制課 瀧屋直樹
・グループディスカッション
・閉会
「平成29年度IoT先端施設等への視察会」を開催致しました。
平成29年6月に静岡県御殿場市にある、株式会社リコー環境事業開発センターへ視察に伺いました。
大変貴重な機会を提供して頂きました株式会社リコー様には、心より御礼申し上げます。
平成29年度IoT先端施設等への視察会 視察内容
・事業所全体ご紹介
・未来棟1Fご紹介(リコーが何故環境事業に取り組もうとしているのか)
・未来棟2Fご紹介(リコーの環境技術について)
・リユース・リサイクルセンターご紹介
・実証実験エリアご紹介
・木質バイオマスエネルギープラントご紹介(屋外施設)
・廃プラスチック油化実験棟ご紹介(屋外施設)
「平成29年度第1回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー」を開催致しました。
平成29年5月に東京にて平成29年度第1回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナーを開催致しました。
40名以上の皆様にご参加を賜りまして、心より御礼申し上げます。
平成29年度第1回廃棄物処理・リサイクルIoTビジネスセミナー 議事次第
・開会ご挨拶 廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 会長 藤井実
(国立研究開発法人国立環境研究所 社会環境システム研究センター 環境社会イノベーション研究室 室長)
・セミナー1
『情報技術によるOA機器のリユース・リサイクル』
講師:花田和己様(リコーインダストリー株式会社 リユース・リサイクル事業部 事業部長)
・セミナー2
『トムラ・ジャパンの消費者参加型ペットボトルリサイクルの取組みとIoTの可能性』
講師:山辺直史様(トムラ・ジャパン株式会社 代表取締役副社長)
「平成28年度第2回ワーキンググループ」を開催致しました。
平成29年3月に東京にて廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 平成28年度第2回ワーキンググループ(低炭素化・ロジスティクス高度化・新規事業創出・海外事業促進)を開催致しました。
参加者は延べ100名以上となり、ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
第2回 議事次第
・開会
・提言書の作成方針
・モデル事業等創出に向けたブレーンストーミング
・検討結果のとりまとめ
・その他
・閉会
「川崎国際環境技術展2017」に出展致しました。
2月16日(木)~2月17日(金)にとどろきアリーナで開催された川崎国際環境技術展2017に出展致しました。
協議会のブースには、2日間での300人程度の方々にご来場頂きました。
会員の皆様におかれましても、遠方からご来場を賜りまして、誠にありがとうございました。
来場頂いた多くの方から大変貴重なご意見を伺うことができ、今後の協議会活動に活かしていきたいと思います。
「設立総会」を開催致しました。
平成28年12月22日に東京国際フォーラムにて廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 設立総会を開催致しました。
ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
設立総会 次第
・開会挨拶 廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 藤井実会長
・来賓挨拶 環境省/経済産業省
・招待講演
「都市鉱山開発の現状と情報活用への期待」 大木達也様(国立研究開発法人産業技術総合研究所・総括研究主幹)
・基調講演
「出現しつつある新しいIoTビジネスモデル」 岩本晃一様(独立行政法人経済産業研究所・上席研究員)
・会員機関による先行事例発表(リレートーク)
①大栄環境株式会社の取り組み ②一般社団法人日本汚染土壌処理業協会の取り組み ③日本電気株式会社の取り組み
・決議事項
・設立発起人からのご挨拶
①藤井実 ②小野田弘士 ③橋本征二 ④松本亨 ⑤山本雅資
・閉会挨拶 廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 小野田弘士副会長
「平成28年度第1回合同ワーキンググループ」を開催致しました。
平成28年11月30日に東京にて廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会 平成28年度第1回合同ワーキンググループを開催致しました。
参加者は70名となり、会員機関が一同に会する実質的なキックオフミーティングとなりました。
当日の開会にあたっては、環境省及び経済産業省より来賓ご挨拶を賜りました。
基調講演には、一般社団法人日本OMGの吉野晃生代表理事より「Industrial Internet & IoTの世界動向と日本の課題」と題したご発表を賜りました。
その後、4つのWG毎に分かれたテーブルにて、各運営委員を座長に据えての活発なディスカッションが行われました。
最後に公益社団法人全国産業廃棄物連合会より閉会挨拶を賜り、盛況のうちに終了となりました。
ご参加を賜りました皆様には、心より御礼申し上げます。
設立の背景
「第四次産業革命」が進展する中、廃棄物処理・リサイクル業界においても、 サービスの付加価値を高めるための設備投資や、ビジネスモデルのイノベーションが求められています。 少子高齢化を背景とした労働力人口の減少が、業界の人手不足に繋がる可能性も高く、 業務の効率化が不可避であると考えられます。
一方、急速に進化するIoTやAI等新技術の普及拡大は、製造業や流通業等の効率化や高速化、 省人化等を推進する原動力となっており、これらの技術を活用して、 静脈産業におけるシステム全体の変革と改善を行うことは、 循環型社会形成に向けた最重要課題の1つに位置付けられます。
こうした課題認識の下、今後不可避と考えられる静脈産業へのIoT導入の検討をきっかけに、 業界全体のあるべき将来像を描くとともに、官民関係者が互いに連携するための枠組みを整備して、 具体的な事業案件創出等につなげることが求められています。
このような背景の下に本協議会は、産官学連携を前提に廃棄物処理・リサイクル分野において IoT導入方策の検討及び推進を目指す国内で初めての団体として設立されました。
設立の目的
協議会は、IoT導入等を通じた「廃棄物処理・リサイクルの低炭素化」、「環境都市の創造」、
「静脈ロジスティクス高度化」、「新規事業創出」等を目的に、以下の活動を実施します。
①廃棄物処理・リサイクル分野のイノベーションに向けた国等への政策提言
②低炭素化等に資する処理設備や物流、ビジネスモデルへのIoTやAI等活用方策の具体化
③産官学関係者の連携による新規事業インキュベーション
なお、具体的なIoT導入分野としては、「収集ルート等の効率化」、「仕分け・分解・選別の自動化」、 「焼却炉等プラント運転の高度化」等を想定しています。
組織体制
※WG(ワーキンググループ)に関しては、現時点での暫定的な区分であり、変更する可能性があります。
会長
藤井 実
国立研究開発法人国立環境研究所 社会システム領域 システムイノベーション研究室
副会長
小野田 弘士
早稲田大学大学院 環境・エネルギー研究科
運営委員
橋本 征二
立命館大学 理工学部 環境都市工学科
松本 亨
北九州市立大学 環境技術研究所
山本 雅資
神奈川大学 政治経済学部 経済学科
事務局
PwCコンサルティング 合同会社
一般社団法人 資源循環ネットワーク
参加機関
CARDには、令和6年11月21日時点で61機関が参加しています。
区分 | 機関名 | 区分 | 機関名 |
---|---|---|---|
民間 |
|
民間 |
|
公共団体、公益財団法人及び公益社団法人 |
|
||
オブザーバー |
|
活動内容
例年、以下の日程で協議会活動を推進することを想定しています。
6月: 第1回CARDビジネスセミナー 開催
7月: 第1回ワーキンググループ 開催
10月: 第2回CARDビジネスセミナー 開催
11月: 第2回ワーキンググループ 開催
12月: CARD総会開催
1月: 第1回CARDビジネスセミナー 開催
2月: 第1回ワーキンググループ 開催
廃棄物処理・リサイクル分野におけるIoTの活用
IoTが静脈産業に普及することで、廃棄物処理・リサイクル分野における効率化や高速化、 省人化等の課題解決が期待されています。
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入会案内
協議会への入会をご希望の方は、申込用紙をご記入の上、下記の住所にご送付ください。
入会申込書は、下記よりダウンロードしてください。
[会員規約]
PDF版※入会金10万円及び年会費10万円(公共団体、公益財団法人及び公益社団法人は除く)
[入会申込書]
PDF版 DOC版【入会申込書送付先】
高度資源循環・デジタル化推進協議会
事務局:一般社団法人 資源循環ネットワーク
〒105-0004
東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル9F LiFEREE WORK 一般社団法人資源循環ネットワーク内
お問い合わせ
高度資源循環・デジタル化推進協議会 事務局
一般社団法人 資源循環ネットワーク
〒105-0004
東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル9F LiFEREE WORK 一般社団法人資源循環ネットワーク内
TEL:03-6268-8767
FAX:03-5501-2578
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